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今後の経営展望について

~2015年(平成27年)3月期 通期 決算説明会 5月12日(抜粋)~

はじめに

根岸でございます。
本日、東京証券取引所におきまして、平成27年3月期決算を発表させていただきました。
決算につきましては、既にご承知の通り、売上高、営業利益とも過去最高の内容で着地を迎えることができました。今期も、更なる業績向上を目指していく所存です。

今期の取り組みについて

国内飲料食品事業

はじめは、国内の飲料食品事業です。
将来を見越した生産体制の見直しは終了し、研究開発の体制強化として行ってきた、中央研究所の整備もまもなく終了します。次は、販売面の強化です。
最初の取り組みは、国内の宅配と店頭という2つの販売チャネルの活性化です。そのための広告コミュニケーション戦略として、「企業ブランドの価値向上」および「商品ブランドのポジションの明確化・鮮度アップ」の2点に注力し、双方のブランドロイヤリティを高め、相乗効果を発揮させていきたいと考えています。

企業ブランドの価値向上策としては、創業80周年シンボルマークの露出を行うとともに、研究開発力の訴求に力を入れてまいります。同時に、ヤクルトレディの魅力発信を行い、宅配組織強化のバックアップに努めていきます。
商品ブランドのポジション明確化・鮮度アップ策としては、「ヤクルト400類」、「Newヤクルト」、「ジョア」を対象に、ターゲット・訴求点を明確にした打ち出しを図ります。

そして、「ジョア」については、既にリリースでもお知らせいたしましたとおり、ディズニーとのコラボレーションを推し進めて参ります。第1弾のテーマは、「シンデレラ」からはじまる「プリンセス」ストーリーといたしました。ディズニーがもつブランドイメージを活用し、「ジョア」ブランドの活性化を強力にバックアップしていきます。
世界に進出するヤクルトと世界的なブランドのディズニーというグローバル企業同士が、WIN-WINの関係構築により、高い話題性を提供し続けていきたいと考えています。
コラボレーション第2弾もご期待ください。

医薬品事業

次は医薬品事業です。
昨年度は、主力のエルプラットが仮需要の反動により、期初の立ち上がりが低迷したことに加え、その他の医薬品も薬価改定による大幅な薬価引き下げを受け、苦戦を強いられました。しかし、今年度の医薬品事業は、売上高の約75%を占めるエルプラットに重点を置き、攻めの営業に転じていく考えです。

主要領域である進行・再発の大腸がんにおいては、世界標準治療薬のエルプラットを中心とした治療について、医師との症例把握による情報収集を行うと共に、継続的な治療の提案活動に一層力を入れていきます。また、治癒を目指す治療である大腸がんアジュバントについては、世界標準を日本のスタンダードにするために、シェア40%まで拡大を図っていきたいと考えています。

一方、2013年12月に承認を得た、すい臓がんに対しては、エルプラットを用いたFOLFIRINOX(フォルフィリノックス)療法が、現時点で最も長い全生存期間を示す治療であることから、各医療機関への一層の周知・定着を図っていきます。

そして、胃がんです。本年3月20日に、進行・再発胃がんに対する承認を得ました。これまでの抗がん剤治療に比べ、患者さんの身体的負担が軽減されることから、エルプラットを用いた療法の早期普及と市場拡大に向けた活動を積極的に推し進めていきます。
また、胃がんに対する術後補助化学療法の申請も、昨年12月に行いましたので、こちらも承認を頂き次第、浸透活動に力を入れていきたいと思っています。

後発品の販売により、エルプラットの販売への影響もある程度予想されます。しかし、抗がん剤治療において最も重要なことは、適正な投薬と管理により安全性を確保し、最善の効果を得ることであります。数多くの情報提供を行い、先発メーカーとしての責務を果たしていきたいと考えています。

また、がん領域に特化した医薬品事業においては、後発品分野においてもその存在感を示しており、ゲムシタビン、ゾレドロン酸等について、後発品市場でシェアNo.1を確保しています。
今後も、医薬品事業は、がん領域に特化するとともに、確実に売上高を担保していくために、後発品の取り扱いにも力を注ぎ、売上高、利益の安定化に取り組んでいきます。

国際事業

次は国際事業です。
本日、「アラブ首長国連邦」ならびに「ミャンマー連邦共和国」における現地法人設立のリリース発表をいたしました。
アラブ首長国連邦をはじめ中東地域は、経済成長が著しく、食生活・食文化の歴史を見ても、高いポテンシャルを秘めた市場です。
また、ミャンマー連邦共和国は、当社の東南アジア地域の未進出国のなかで、最大の人口規模を誇る国です。
既存の進出国での普及活動に加え、新たな進出国を増やすことで、世界中でより多くのお客様づくりをこれからも続けていきたいと思います。

それでは、地域ごとの状況について説明いたします。

アジア・オセアニア地区

アジア・オセアニア地区は、引き続き国際事業における牽引役です。
なかでも、中国事業は、この春に新たな販売拠点を4箇所新設し、31の販売拠点体制となりました。これにより、中国のマーケティング人口は昨年同時期に比べ1億人増加し、6億人の人口を対象とする事業規模となりました。進出エリアでの一層の浸透を図っていきます。中長期的には、中国は総人口13億人の人口大国ですので、継続的に毎年複数の販売拠点を増やし、一人でも多くの方が、ヤクルトを入手できる環境を整えていきます。一方、旺盛な需要にこたえるために、生産体制の強化も推し進めています。本年6月には、無錫工場での生産がはじまります。引き続き、需要を見越した新たな工場建設も視野に入れています。

また、インドネシアについても、引き続き成長が見込まれます。
このため、昨年生産を開始したスラバヤ工場では、更に60万本の生産増強を行う予定です。販売面では、ヤクルトレディの数を更に増やすことで、宅配チャネルの販売力を高め、店頭チャネルでの売上拡大という相乗効果を図っていきます。

米州地区

次は米州地区です。安定的な成長が続いています。
メキシコは、総人口1億1840万人のうち、現在は約8500万人を市場として捉えています。治安の悪化などを考慮し、現在は新たな市場拡大を見合わせていますが、既存市場においては、地方を中心に更なる市場深耕の余地があります。引き続き、一歩一歩着実にファン作りを進めていきます。また、「ヤクルト」と平行して、ドリンクヨーグルトと固形ヨーグルトの「ソフール」についても、お客様作りに取り組み、ヤクルトブランドのすそ野を広げていきます。

また、ブラジルは、2001年から開始した市場の再構築により2004年以降の販売実績は着実に成長しています。現在は、サンパウロ州での販売が中心ですが、市場の再構築エリアを徐々に拡大し、持続的な成長を目指していきます。

欧州地区

最後は欧州です。
欧州食品安全機関(略称:EFSA/エフサ)の決定により、全てのプロバイオティクス製品が、健康効果を訴求できないという状況にあり、当社の欧州での事業は、新規顧客の獲得に苦戦を強いられています。しかし、欧州での事業展開も1994年のオランダ進出から20年が経過し、「ヤクルト」の価値を実感されているお客様は、大勢いらっしゃいます。地道な活動を通じ、実績を積み上げていきたいと思います。

株主還元について

株主還元についても述べたいと思います。
当社は、株主の皆様に安定的な配当を継続して実施していくことを最優先とし、そのうえで資金需要および財政状態ならびに業績などを総合的に勘案して配当金額を決定してきました。

この基本的な考えに加え、本年は創業80周年を迎えたことから、記念配当の実施検討を行い、本日開催した取締役会にて、2016年3月期の予想配当を、普通配当に加え、記念配当20円を加算した50円の配当とすることを決定いたしました。
これからも、事業を持続的に成長させることにより、株主の皆様の期待にこたえていきたいと思います。

結び

最後に、当社の時価総額は既に1兆円を超えるまでになりました。食品セクターにおける当社は、株式市場から高い評価を頂いていることになります。この高い期待にこたえるべく事業運営に邁進したいと思います。

ご清聴ありがとうございました。

株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長 COO
根岸 孝成

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