医療の現場において感染性合併症の予防は、患者の予後にかかわる大きな問題です。例えばがん患者では、治療法の一つとして化学療法を施しますが、それが原因で易感染状態となるうえに、手術の影響で、より感染性合併症にかかりやすくなります。抗菌薬は感染症の予防や治療に欠かせませんが、現在では抗菌薬の多用が薬剤耐性菌を出現させ、それらによる感染症の問題が深刻化しています。
そこで、抗菌薬だけに頼ることのないよう、シンバイオティクスの使用が注目され始めました。本レポートでは消化器外科領域および救命救急領域におけるシンバイオティクスの投与事例について紹介します。
1. シンバイオティクスとは
2. 胆道がん術後患者の感染症に対するシンバイオティクスの投与効果
3. 救命救急領域におけるシンバイオティクス