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ニュースリリース

小児急性下痢症に対する「ヤクルト」の予防効果を確認
~インド国立コレラ・腸管感染症研究所との大規模共同研究を実施~

2010.08.20研究開発

 株式会社ヤクルト本社(社長 堀 澄也)では、インド国立コレラ・腸管感染症研究所(National Institute of Cholera and Enteric Diseases)と共同で、「ヤクルト」の飲用試験(以下、本研究)を実施した結果、「小児急性下痢症の発症予防に効果がある」ことが明らかになりましたのでお知らせします。

 本研究は、インドにおける下痢症の発症率の高い地域から3,585名の小児を対象に、世界的にも前例のない大規模な長期飲用試験として実施されました。その結果、統計学的に有意な差をもって「ヤクルト」の小児急性下痢症に対する予防効果が示されました。「ヤクルト」の継続飲用が一般生活者の消化器症状改善に有効であると示されたことで、「ヤクルト」の飲用意義が強く裏付けられたことになります。

 なお、本研究の成果は、「Epidemiology and Infection(疫学と感染)」の電子版に掲載されました。

 当社では、腸内細菌のバランスを改善することにより、宿主(人など)に有益な作用をもたらす生きた微生物を指す「プロバイオティクス」に関する研究を行っています。その代表的菌株である乳酸菌「L.カゼイ YIT 9029(シロタ株)」は、整腸作用に加えて、表在性膀胱がん再発抑制やアレルギー症状の軽減といった免疫調節作用を有することが数多くの発表論文で検証されています。当社では、今後も微生物の優れた力を人の健康に役立てる研究を積極的に推進していきます。

 

【本研究の概要】

 世界における5歳未満の小児の死亡者数は年間約880万人で、最も多くの死亡者を出している国はインド(年間約183万人)です。一方、インドにおける5歳未満の小児の死因の約13%が下痢症と報告されています(Black REら、Lancet. 2010. 375: 1969-1987)。

 本研究は、インド東部のコルカタに居住する15歳の小児3,585人を対象とし、ランダムに2群に分け、それぞれに「ヤクルト」またはプラセボ飲料を11本(65ml)、12週間継続飲用させ、急性下痢症状の有無や糞便中の病原性微生物について調べました。

 その結果、プラセボ飲用群においては1,783人のうち674人に下痢症状が見られましたが、「ヤクルト」飲用群においては1,802人のうち608人であり、「ヤクルト」の有意な下痢発症抑制効果が認められました。また、下痢の発症率についても、プラセボ飲用群の1.029//年に比べ、「ヤクルト」飲用群では0.88//年と有意に低い結果となりました。さらに、同時に行なった下痢便中の病原性微生物解析においては、感染性下痢症の原因となるアエロモナスとクリプトスポリジウムの検出率が、プラセボ飲用群に比べて「ヤクルト」飲用群では有意に低い結果となりました。

 

※:プラセボとは、味や外見は同じで、有効成分を含まないもののことです。本物とプラセボの2つのグループを比べることによって、効果の程度を科学的に測定できます。

以 上

【参考資料】

1.下痢症状

 下痢発症者数については、「ヤクルト」飲用群で1,802人中608人、プラセボ飲用群で1,783人中674人であった。

 また、下痢の発症率についても、「ヤクルト」飲用群(0.88//年)の方が、プラセボ飲用群(1.029//年)よりも有意に低下した(p<0.01)。

 

2.病原性微生物

 試験期間中に採取された下痢便中の病原微生物を調べた結果、アエロモナスの検出率については、「ヤクルト」飲用群で1.0%(9検体/ 863検体)、プラセボ飲用群で2.5% (19検体/ 750検体)であり、「ヤクルト」飲用群が有意に低かった(p<0.05)。

 また、クリプトスポリジウムの検出率については、「ヤクルト」飲用群で9.3%(71検体/ 760検体)、プラセボ群で13.0%(86検体/ 662検体)であり、「ヤクルト」飲用群が有意に低かった(p<0.05)。

 なお、その他の病原性微生物の検出には有意差は見られなかった。

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