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いい入浴でカラダが変わる!免疫機能も整う! 睡眠と血圧にいい入浴法とは


長年、地域医療にかかわってこられた医師、温泉療法専門医の早坂信哉先生に、いいお風呂の入り方、その科学的な研究成果をうかがいました。
お風呂という日常の行為に潜む、目からウロコの驚きのデータ満載です。


早坂信哉先生プロフィール

早坂信哉(はやさか・しんや)

東京都市大学人間科学部・教授。温泉療法専門医。

1968年生、宮城県出身。自治医科大学医学部卒業後、地域医療に従事。1998年、自治医科大学大学院医学研究科にて入浴に関する調査研究を開始。2002年、自治医科大学大学院医学研究科修了。同大学医学部総合診療部、浜松医科大学医学部講師、同准教授、大東文化大学教授などを経て現職。著書に『おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術』(山と渓谷社)、『最高の入浴法〜お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)などがある。

疲れた体にお風呂は、気持ちがいいですね。みなさんは、どのようにお風呂に入っていますか? とても日常的な行為なので、これまであまり科学的な研究がされてこなかったという「入浴」。
じつは、研究の結果、意外な事実が次々明らかになってきました。温泉療法専門医の早坂先生に詳しくうかがってみました。


効果的な入浴は、40℃で10分の全身浴!

体によいお風呂の入り方について教えてください。

まず、入浴効果として、①体が温まり、血流がよくなる。②重力から解放され、筋肉もゆるみ心身ともにリラックスする。③水圧で、とくに下半身の血液循環が促進され、足先のむくみがとれる。などということがあります。
適温は約40℃。42℃以上だとデメリットが多くなります。体を活動モードにする「交感神経」が優位になってしまい、血圧が上がり、血液の粘り気が上がって血栓ができやすくなります。低すぎても体を温めるという入浴効果が減ります。40℃くらいだと、交感神経とバランスを取ってリラックスモードにする「副交感神経」が優位になるのでオススメです。
また、あまり短時間だと体が温まらないので、効果は半減。10分ほど入ることで体温が0.5〜1℃上がることがわかっています。浴槽につかるのがもともと短めという習慣の方は、体を洗う前と後などの合計でもよいので、10分くらいは浴槽でのんびり温まりましょう。
以前、半身浴がはやりましたが、半身浴は入浴効果がいずれも半分になります。肩まで入ることで肩こりも改善するので、全身浴がよいでしょう。

いい入浴で不眠も解消!

最近、なかなか寝つけない人が多いようですが、睡眠と入浴との関係はいかがでしょうか?

そうですね。不眠に悩んでいる人はとても多いと聞きますね。でも、じつは、お風呂に入ることは、とてもよい睡眠法でもあるんです。

よい睡眠には、眠りに落ちてからの1時間半に深い眠りを得ることが⼤切といわれています。そして、そのためには、寝る前に体温を上げ、それが下がっていくころに布団に入るのがよいのです。

そこで入浴が大切になります。入浴は、布団に入る1時間半くらい前がおすすめです。先ほど言った40℃のお風呂に10分ほど入り、体を温め、風呂から出た後で体温が下がってきたところで布団に入ると、ぐっすり深い眠りに入ることができるんです。ぜひ試してみてください。

22時半ごろに布団に入る場合、その1時間半前の21時ごろに入浴し、体の深部の体温を上げ、それから深部体温が下がるときに布団に入ることで深い睡眠が得られる。(文献と早坂先生のコメントを参考に作成:参考文献_1)

毎日の入浴習慣で、脳出血46%減、
幸福度アップという研究結果も

入浴によって、体には実際にどのような効果があるのですか?

今研究しているのは、千葉大学などと共同で大勢の人を長期間観察する「コホート研究」という手法で、全国18市町村の健康な高齢者約14,000人に対して数年以上にわたって、入浴習慣と、要介護になるかどうか、うつや認知症などになるかどうかなどを追跡調査する研究をしています。
これまでのさまざまな研究で、毎日入浴する習慣のある方は週に2回以下の方に比べて、要介護になるリスクが29%も低いことが分かりました。また、他の研究者からの発表ですが心筋梗塞や心臓突然死を起こすリスクは35%低く、脳卒中を起こすリスクは26%低く、とくに脳出血は46%も低いという報告がありました。
これは体を温めることによって血管がやわらかい状態に保てることで、動脈硬化などが予防できるという結果だと考えられます。
さらに、私たちの研究グループでは毎日入浴する人は、毎日は入っていない人と比べて幸せを感じる人が10%も多いという研究結果も発表しています。

入浴で、免疫機能アップ!?

日々何気なく入っているお風呂ですが、すごい効果がいろいろあるのですね? 入浴によって、具体的に、体にはどういう変化があるのですか?

体を温めるのは、疲れがとれる、痛みが軽減する、睡眠の質がよくなるなどの効果があることがわかっていますから、それだけでもお風呂に入るメリットがあります。
また、一時的な実験結果ではありますが、入浴によって、免疫機能をになう「リンパ球」が増え、その中の「ナチュラルキラー(NK)細胞」が増えるという報告があります。そして、体温が上がり、血流がよくなることで、その免疫細胞が全身をめぐるということが期待できるわけです。
さらに、入浴によって、唾液中の「IgA(免疫グロブリンA)抗体」という、粘膜ではたらく免疫物質が増えるという研究結果もあります。
また、入浴したときのホルモンの変化を調べた結果、ストレスを緩和させる「幸せホルモン」とよばれる「オキシトシン」が増加することがわかりました。お風呂に入って幸福度がアップするのは、そうしたホルモンの変化もあるのではないかと考えることができます。

温泉やサウナの効果は?

いま、温泉や銭湯、サウナも人気ですが、健康にとってはどうでしょうか?

温泉は、お湯の成分によってさまざまな効果がありますが、基本的に体を温める効果と保温効果が、家庭の⾵呂より⾼いことが期待でき、⾎流も改善します。
また温泉や銭湯は、環境として、転地効果も大きいですね。広い湯船でα波が出てリラックスするという研究もあり、非日常ということもあるのでリフレッシュ効果が高まりますね。
サウナは、体を温める効果としてはよいですが、血圧が50-60も上がるという報告もあり、ヒートショックの危険性はあるので、注意して利用してほしいです。最近流行りの日本式サウナについての科学的な研究はまだほとんどありませんが、とくに、熱いサウナからすぐに水風呂に入るというような急激な温度変化は体に負担があり、失神や脳卒中のリスクもあるので、特に高齢の方は注意してください。

入浴と血圧の関係

血圧が気になる人は、入浴のときにどんなことに気をつければいいでしょうか?

まず、入浴前と後とでは、血圧が変化することを知っておきましょう。入浴時の血圧を測ったことがあるのですが、この図は12月に一般家庭で行った、血圧変化の実験です。リビングルームは24℃、脱衣所は13℃、湯船の湯は42℃で計測しました。

入浴すると全身が温まり、血流がよくなって血圧が低くなります。人によっては、入浴後にめまいや立ちくらみなど具合が悪くなることがありますが、これは低血圧が原因です。お風呂に入る前には水を飲んだり、湯船から出るときはゆっくり立ち上がったり、お風呂から出るときに手に冷たい水をかけたりするのがおすすめです。

もし、めまいや立ちくらみが起きたら、その場に座るなどして頭の位置を下げることが大事。落ち着いたら、ゆっくりと立ち上がりましょう。

高血圧の方が入浴するときの注意点

高血圧の人は入浴してもいいのでしょうか?

私の過去の研究から、入浴前の血圧が160/100未満であれば問題ないと考えます。ただし、湯の温度を40℃程度に、また脱衣所を温めておくといいですね。湯船に入る前に、手足の末端からシャワーでかけ湯をして、体を湯の温度に慣らしておくといいでしょう。

同じく、血圧が160/100未満の方であれば、温泉にも入れます。ただ、長湯はおすすめできません。湯あたりやのぼせの症状は、熱中症に当たります。汗だくになるまで湯船に浸からないこと(汗が出たら湯船から上がる)、湯あたりやのぼせが出たら涼しいところに移動して体を冷やすこと、水分をしっかり摂ることが大切です。

入浴後に体調不良にならないために

温泉やサウナだけでなく、入浴時に注意することはありますか?

現在、入浴時に亡くなられる方が2万人近くおられ、これは交通事故死亡者の約6倍にもなります。その90%以上が65歳以上の高齢者です。原因は熱中症や、急激な温度変化によって心臓や脳にトラブルが起こるヒートショックなどですが、若い方でも、高血圧や肥満、喫煙習慣がある方は心筋梗塞や脳卒中のリスクがあるので、とくに寒い季節は注意が必要です。
その予防のためには、まず、リビングと脱衣所、浴室の温度差を少なくすること。そして、入浴前に水分をとっておくことをおすすめします。また、浴槽に入る前に少し多めに体にお湯をかけるのも予防になります。
41℃のお湯に15分入り、30分後に計測したところ、約800mlもの水分が失われていることがわかったという研究もありますので、入浴前に水分をとるのもいいですね。
リスクに対処しつつ、入浴を楽しみ、健康を増進させてください。

これまで、入浴についての研究は、ほとんどなかった?!

ところで、先生は「温泉療法専門医」とのことですが、入浴や温泉などについて研究されるようになったきっかけを教えてください。

もともと入浴について研究しようと思っていたわけではないんです(笑)。日々、地域医療をする中で、要介護になられた方が、お風呂の予定日に血圧が高かったりすることがあるんです。訪問入浴の担当者は、これで入浴していただいて大丈夫だろうかと心配になり、主治医である私に相談されることがあります。「血圧が○○なんですが、お風呂に入っていただいて大丈夫でしょうか?」って。
私も、軽々に返事をすることはできないので、文献を調べるのですが、温泉成分などについての研究はあっても、血圧と入浴、特に入浴事故との関係については、ほとんど研究が見つからなかったんです。とても日常的な行為なので、あまり研究対象にならなかったんだろうと思います。それで、科学的に研究するようになったというわけなんです。

そういう経緯でいらしたんですね。お忙しいなか、とても貴重なお話をありがとうございました。

COLUMN コラム

温泉宿にまんじゅう、銭湯にコーヒー牛乳の深いワケ

そういえば、温泉宿には必ずといっていいほど部屋におまんじゅうなどの甘いお菓子があり、銭湯にはコーヒー牛乳の自動販売機などが置かれていることが多いですが、それにも、ちゃんと意味があると早坂先生は話してくださいました。

「入浴によって、体内のブドウ糖が消費されて血糖値が下がりやすくなります。そのため、空腹時に入浴すると低血糖になることもあるんです。温泉宿には、おまんじゅうなどその地方名産の甘いお菓子が置かれていることがありますよね。また、銭湯の湯上がりには、コーヒー牛乳やフルーツ牛乳を飲むのが定番です。
温泉に入る前や後に、血糖値を少し上げるというのも、じつは科学的にも意味があるんです。私は以前、入浴前に緑茶を飲むとカテキンの吸収量が増えるという研究をしたこともあるのですが、そういう意味では、入浴前に『ヤクルト』などを飲むのもいいと思いますよ」

とのことです。昔ながらの習慣にも、ちゃんと科学的な意味があったのですね。

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