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おとなの健康図鑑VOL.2 建築家/永山祐子

「おとなの健康図鑑」では、さまざまな職業や趣味を持っている人が登場。やりたいことに夢中になっているおとなたちの、「好き」を支える日々の健康習慣をご紹介します。

今回は、建築家の永山祐子さんをピックアップ。日本空間デザイン賞やWAF、ドイツの国際デザインアワードなど、さまざまな賞を受賞したJINS PARK 前橋の設計や、2023年春に開業した東京・新宿の東急歌舞伎町タワーの外装・内装デザインなど、数々の建築物を手がけています。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、2つのパビリオンの設計を担当。国内外を飛び回る永山さんに、健康の秘訣を伺いました。

地域や人とのきっかけづくりが、私の仕事

今、どんなプロジェクトが進行していますか?

永山祐子さん(以下、永山):30〜40のプロジェクトを担当していて、設計のほかに、プロダクトや展覧会、アワードの審査員などが同時進行で動いています。

2020年ドバイ国際博覧会(ドバイ万博)の日本館に続き、大阪・関西万博のパビリオンも担当されていると伺いました。

永山:そうなんです。2つのパビリオンを担当していて、1つめはパナソニック館。ひねったパイプのような構造体を重ねてアーチにしていくのが特徴で、金属膜をオーガンジーのように特殊加工して張り、風が吹くとゆらゆらとなびくようにしています。

もう1つは、ウーマンズパビリオンです。ドバイ万博から始まった女性活躍をテーマにした館で、ドバイ万博の日本館のファサードで使った構造体をリユースする予定です。

(1枚目)パナソニックパビリオン「ノモの国」/CG:パナソニックホールディングス株式会社
(2枚目)Women_s Pavilion in collaboration with Cartier/CG:Cartier

パナソニック館のファサードに使われる構造体。

設計という仕事をどのように捉えていますか?

永山:建築は建つ地域の新しい状況づくりのきっかけとなると思っています。最近では商業建築も地域貢献ということを目標に取り組むプロジェクトが増えています。今、名古屋にカフェを建築から設計してまさに現場が進行中なのですが、ロジスティックの企業がオーナーで、カフェだけではなく地下にボッチャのコートにもなる多目的スペースをつくったりと、コミュニティが生まれて地域活性につなげられるような場にしたいとのことでした。
また、以前、JINS PARK 前橋を担当したときも、地域貢献型のロードサイド店をつくりたいということで、滞在するきっかけをつくるにはどうしたらいいか?と考え、余白を持ったスペースと毎日来られるきっかけとしてパン屋さんを併設することになりました。ステージのような階段状のスペースはオープン後、レストスペースとして使われています。建物を介して人とのつながりや地域貢献の新しいきっかけをつくることができる、それがいちばん大切だと思います。

2024年に完成予定の名古屋のカフェ。屋根は、青く色が出る釉薬を塗って焼いた陶器で覆う予定。

私の健康習慣01:自分で抱えすぎず、周りを頼る

いくつものプロジェクトを抱え、また2児の母でもある永山さんですが、多忙な中で健康を維持するにはどうしていますか?

永山:そうですね、なかなか時間が取れなくて「もう少し考える時間がほしい」と思うことはあります。ですが、スタッフがすごくがんばってくれるので、プロジェクトがある程度、軌道に乗ったら、仕事はなるべくスタッフに委ねるようにしています。

家の中のことは、シッターさんや親に頼りっぱなしで。平日の食事は母が作ってくれるので、自分が小さい頃に食べた健康的な食事を、今は子どもたちが食べて育っています。

仕事は基本的に好きでやっているから、プロジェクト数が多いからといってストレスに感じたりはしません。それに、周りでサポートしてくれる存在がいたので、子どもを産んでも仕事を続けようという選択ができました。事務所のスタッフにも子どもを3人育てながら仕事をしている女性がいますが、保育園に通わせる代わりにシッターさんに自宅に来てもらって、在宅で仕事をしている間は別室で子どもの面倒を見てもらうそうです。週に1回は食事作りもアウトソーシングしたりと、さまざまなシステムを駆使することでキャリアを止めずに子育てもして、仕事の成果も挙げています。

私は休むと体調をくずすのに、仕事に行くとなぜか治ってしまうので、つわりがひどいときは仕事をするようにしていました。「何をすると自分が楽になるのか」を知っていると気持ちが安心するし、周りを頼ることを遠慮しないというのも大切ですね。

私の健康習慣02:リラックスできる時間をつくる

仕事が好きと伺いましたが、ずっと緊張状態が続いているのは疲れませんか?

永山:疲れるというよりは、心と体が健康じゃないとアイデアが出にくいなと感じます。だからリラックスできる時間を持つようにしています。私はあまりお酒を飲まなくて、夜、好きなお茶を淹れて考え事をします。寝る前はカフェインを摂らないようにしていて、ハーブティーが大好き。いろいろなブレンドのティーバッグを見つけたので、好みの組み合わせを楽しんでいます。

それから、子どもたちとの時間。子どもたちがテレビで同じ場面を何回も見ているのが不思議で理由を聞いたら、私に見せたくて繰り返していたのだと。そんなことに気づかずに、つい子どもたちがテレビを見ている間も仕事をしていたことを反省しました。それがわかってからは、テレビの時間にパソコンを開かないように、ソファに一緒に座る努力をしています。

あとは、入眠の儀式でしょうか。寝る前に子どもたちに絵本を読み聞かせします。同じ本を何度も読むこともあって、お気に入りはフィンランドの絵本作家、マウリ・クンナス。絵の中にいろいろな物語が詰まっていて、子どもたちが大好きなんです。

夫も忙しく、平日はなかなか一緒に食事をすることも難しいですが、その分、土日の休みは家族4人で食卓を囲みます。一緒にごはんを食べながら1週間分の話をして過ごすことを大切にしています。

子どもたちに、おとなの夢を見せていきたい

これからやりたいこと、挑戦したいことはありますか?

永山:まずは、進行中の建築物や、大阪・関西万博のパビリオンを完成させること。万博の意義は実装実験だと思っていて、これまでにない新しいやり方や見せ方など、万博だからトライさせてもらえる表現を目指して進めています。何度も試行錯誤して失敗しながらも、おとなが本気でかなえたいと思っている夢を、若い世代に見せられる機会ですから。

そして万博以降、自分たちが取り組むべきプロジェクトを考えて、コンペに参加し2つの案件設計者に選ばれました。それはやはり地域に関わるものになりそうで、規模の大小はあってもやるべきなのは地域コミュニティとのつながりをつくること。そういった、建築物を介したきっかけづくりを、これからも続けていきたいです。

永山祐子(ながやまゆうこ)

建築家、一級建築士。2002年に永山祐子建築設計を設立。2014年に瀬戸内海の豊島横尾館でJIA新人賞を受賞。女神の森セントラルガーデン、JINS PARK 前橋、ドバイ万博の日本館、東急歌舞伎町タワーなどの建築物やオフィスビル、プロダクト、インスタレーションなど、さまざまなジャンルで活躍中。

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