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免疫機能を整えるなら、まず腸内環境に注目!

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病原菌やウイルスなどの外敵から体を守る役割を担っている免疫機能。この免疫機能は、実は腸内環境と密接な関係があることをご存知ですか? 『9000人を調べて分かった腸のすごい世界』(日経BP)の著者で、腸と免疫研究の第一人者である國澤 純先生にお話を伺いました。

國澤 純氏(くにさわ・じゅん)

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長

そもそも免疫って? 免疫機能ってどんなはたらき?

そもそも、「免疫」とは何なのでしょうか?

病原体のような、自分の体にとって有害なものが入ってきたときに、それらを排除するシステムが「免疫機能」です。「抗体」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、抗体はそうした異物を排除するために重要な分子です。

免疫は、もともと持って生まれたものなのでしょうか?

自然免疫と獲得免疫の2種類があります。自然免疫は生まれつき体に備わっているもの。獲得免疫は後から獲得するもので、記憶能力があるのが特徴です。この原理を使ったのがワクチンで、病原体に似たものを体に入れて記憶させ、次に本当に病原体が入ってきたときに敵であることを思い出させて攻撃する、というしくみです。

高齢者はワクチンを何回も打つ必要がありますが、それは、加齢が進むと新しい敵が入ってきても、免疫が反応できなくなってしまうから。敵のことを忘れないように、また抗体をたくさん持っていたほうがいいので、若い世代よりもワクチンを打つ回数が多くなるのです。

腸内環境と免疫機能にはどんな関係がある?

免疫と腸にはどのような関係があるのでしょうか?

腸はただの消化器官と思われがちですが、実は免疫にとっても重要な場所で、体の中にある免疫細胞の半分以上が腸に集まっていると言われています。

腸の壁は一層の上皮細胞のみの薄い構造になっています。これは、栄養を吸収するのには効率がいいのですが、有害なものも入ってきやすくなっています。守りを固めるために、免疫細胞が腸に多いのは理にかなっているわけです。また腸にいる免疫細胞は体内の他の臓器に移動できるのが特徴で、腸で学習したことを体全体に伝える役割も担っています。

先ほど、免疫は自然免疫と獲得免疫に分けられると紹介しましたが、それとは別に体の部位によって分けることもあります。具体的には全身免疫と粘膜免疫と呼ばれるもので、口や鼻、腸管などの粘膜で病原体などを体内に入れないように防御するのが粘膜免疫、体の中に病原体が入ってしまったときに排除するのが全身免疫です。入り口となる粘膜のところでしっかり防げるようにすることが大事で、そのために腸というのはとても重要な器官なのです。

免疫は、「上げる」「高める」ではなく「整える」こと!

病気にかからないように免疫をアップさせたいのですが、「免疫の力を上げる」「免疫機能を高める」のはいけないことなのでしょうか?

免疫については、「何に対して反応しているか」という視点が大事だと思います。

病原体を攻撃する際は免疫が高まっていてもいいのですが、花粉に対して過剰に免疫が反応してしまうと花粉症のようなアレルギー反応を引き起こします。その他には、紫外線を浴びると、ダメージを受けた細胞を除くために免疫細胞が集まってきます。これにより紫外線から肌を守ろうとするのですが、その際に正常な皮膚の細胞まで壊してしまうと、シワの原因になってしまいます。

これらは、免疫が高まりすぎたのが原因となっています。
ですから免疫に関しては、「上げる」「高める」ではなく、まず「何に対して反応しているか」ということを考えること、そして特にバランスも大事ですので「整える」という意識を持つことをおすすめします。

免疫を整えるために、腸内環境を整えよう

免疫を整えるためには、腸内環境がどのような状態だといいのでしょうか?

理想的な腸内環境のために注目する成分として、短鎖脂肪酸を紹介したいと思います。

短鎖脂肪酸は腸の動きを活性化させるエネルギー源になるのですが、それを作り出すには、良い菌(乳酸菌やビフィズス菌など)のエサになる食物繊維を摂る必要があります。食物繊維は便通をよくするためのものという印象が強かったかもしれませんが、実は腸内細菌のエサになって短鎖脂肪酸を作ることでも健康に関わっていると注目されています。これで腸が元気になって、免疫が整いやすくなります。

もう一つ大事なのは、食物繊維を摂ればすぐに短鎖脂肪酸になるのではなく、下の図のように、納豆菌や乳酸菌、ビフィズス菌などのはたらきが必要で、まるでリレーの第一走者から第二走者へとバトンが渡っていくようにして短鎖脂肪酸になるのです。途中、どこかの菌が足りないとリレーが続かず、その場合は短鎖脂肪酸ができません。

こうして見ると、腸内にはさまざまな菌がいるんですね。

そうですね、腸内細菌はダイバーシティ(多様性)が大事だと思います。

以前に、人の腸内にはどんな菌がどれだけいるのかを調べたことがありますが、いろいろな菌がまんべんなくいる人と、ある特定の菌だけがいる人がいました。一つの菌でできることは限られているので、なるべくいろいろな菌がいたほうが腸内環境にはいいです。先ほどのリレーの話だと、いろいろなタイプの選手がいたほうができることも増えて体にはいいわけですね。

バラエティ豊かな、ダイバーシティな腸にするには、やはり食事がポイント。よく「バランス良く食べること」と言われますが、まさにさまざまな食べ物を摂ることで腸内細菌のダイバーシティが進み、それが腸内環境を良くして、結果として免疫を整えることにつながってくるのです。

腸内環境を整える食べ物と食べ方のコツ

腸内細菌のダイバーシティを実現するには、どのような食品を摂ればいいのでしょうか?

まずは、食物繊維。腸内細菌のエサになりますし、そもそも現代人は食物繊維の摂取が足りないので、意識して摂りましょう。

そして、発酵食品ですね。納豆やヨーグルトといった発酵食品に含まれている菌は、私たちの体の中で良いはたらきをしてくれるものが多いから、なるべく積極的に食べたほうがいいです。

もちろん、ビタミンやミネラルも大切。さらに多様性の観点から言うと、特定の食品ばかりを食べていると、それをエサにする特定の腸内細菌だけが増えてしまいます。できるだけ多くの種類の食品を食べるようにするといろいろな菌が腸に入り込み、ダイバーシティが実現すると期待されます。

食べ方にコツはありますか?

嫌いなものを無理して食べる必要はないと思います。足りないな、と感じたら足すくらいの意識でいいです。食物繊維を最近食べていないな、と思ったら、コンビニでもち麦のおにぎりや全粒粉パンのサンドイッチを買うとか。一気にいろいろな食品を摂るのは大変だし、長続きしません。普段の食事にプラスすることを継続するだけでだいぶ違います。

気をつけたいのは「ばっかり食べ」。「〇〇ばっかり」「●●だけ」と、決まった食品ばかりを食べ続けるとそれを好む菌だけが増えて、かえっておなかの調子を崩すことにもなりかねません。

確かに、「◯◯ダイエット」などで同じ食品ばかりを食べ続けることもありますが、腸にとっては良いことではないということですね。

そうですね。糖質制限ダイエットで炭水化物を食べないようにする方もいますが、炭水化物の中の食物繊維は腸内細菌のエサになるので、あまり減らしすぎないようにするのが腸にはいいと言えます。

あと、発酵食品を摂るときは、なるべく生きた菌のほうがいいです。死んだ菌でもいいのですが、生きているからこそ持っているはたらきもありますから。賞味期限が長すぎる発酵食品は、高温処理で菌が死んでいる場合もありますので、注意してください。

極端に何かだけを食べ続ける、または何かを完全に抜くという食事は、健康と腸内環境のことを考えてもあまりすすめられません。ほどほど、を心がけましょう。

腸内環境を整えるために、しておきたい生活習慣

食事以外に、腸内環境のためにしておくといい生活習慣はありますか?

適度な運動がおすすめです。運動を始めるとお通じが良くなることがありますし、腸をひねるエクササイズのように物理的に腸に刺激を与えるのもいいでしょう。

私はできるだけ、体を動かすことを意識しています。ほかには、お味噌汁。野菜やキノコなど、食物繊維を意識した具だくさんなお味噌汁を食べています。味噌は発酵食品だし、具も食べやすいのでいいですね。油はオメガ3脂肪酸(アマニ油やエゴマ油など)のものやココナッツオイルを使っています。

あまりストイックに「食物繊維を摂らなくては!」と追い込んでしまうと長続きしないので、腸内環境のためにはとにかく毎日続けていくことが大事。一日ですぐに変化するものではなく、少しずつ時間をかけて変えていくものだと思って継続していきましょう。

COLUMN コラム

免疫機能が誤作動を起こすとどうなる?

免疫は、体を健やかに保つためになくてはならないしくみなのですが、たまに誤作動を起こしてしまうことがあります。本来であれば、有害な異物に対しては攻撃し、そうでないものには攻撃しないというバランス感覚が、免疫にはあります。

しかしこれが誤作動を起こして本来攻撃してはいけないものに攻撃をし始めると、花粉や食べ物に対するアレルギ―、さらにはリウマチといった自己免疫疾患になってしまうことも。明らかな外敵を排除するだけでなく、抑制と攻撃のバランスが崩れてアレルギーや自己免疫疾患を引き起こす、最近はそんな免疫の誤作動が増えています。

実は、糖尿病も免疫が原因だと言われています。脂肪の周りにある免疫細胞が炎症を起こすと、インスリンが効かなくなります。免疫の暴走が糖尿病を引き起こす原因だとわかり、炎症を抑える薬を糖尿病治療に用いる研究も進んでいます。糖尿病は太っている人だけがなるのではなく、痩せていてもなる理由の一つがこれで判明しました。このように、一見、免疫とは関係ないと思われそうな病気も、実は免疫が原因なんだとわかるケースもあるのです。

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