健康管理の
注意したい
夏風邪(なつかぜ)の症状とは?
風邪(かぜ)は単独の病気ではなく、鼻や喉などの上気道に起こる炎症の総称です。原因となるウイルスも一つではなくさまざまな種類があります。
風邪(かぜ)の一種である「夏風邪(なつかぜ)」は、冬の風邪(かぜ)とは異なり、夏に流行しやすいタイプのウイルスによって起こるのが特徴です。夏風邪(なつかぜ)は主に乳幼児がかかりやすい感染症ですが、大人も感染することがあります。大人の場合は子どもよりも症状が強く出ることもあるため、夏風邪(なつかぜ)の特徴や対処法を知っておくことが重要です。
- 監修
- かなまち慈優クリニック 院長/医学博士・総合内科専門医・消化器病専門医 高山哲朗先生
夏風邪(なつかぜ)
とは?
夏風邪(なつかぜ)の原因となるウイルスは複数あるため、一度治っても別のウイルスに感染し、結果としてシーズン中に何度も夏風邪(なつかぜ)をひいたように見えることがあります。
夏風邪(なつかぜ)としてよく知られているのは「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱」の3つで、これらは3大夏風邪(なつかぜ)とも呼ばれており、ウイルスによる感染症であるため、咳やくしゃみなどの飛沫だけでなく、タオルの共有など、物を介した接触でも感染が広がります。便に含まれたウイルスが手などを介して口に入り、感染する場合もあります。
保育園・幼稚園・学校といった集団で過ごす環境では、多くの人が触るおもちゃ、ドアノブ、テーブルなどの場所を介して広がりやすく、家庭に持ち込まれると家族内で連鎖的に感染することがあります。
夏は、冷房による室内外の温度差、寝苦しさによる睡眠不足、食欲の低下などが起きやすい季節です。そのため、体調を崩しやすく、夏風邪(なつかぜ)の回復に時間がかかることがあります。また、汗で水分が失われやすいため、脱水にも注意が必要です。
夏風邪(なつかぜ)は軽い症状で済むことが多い病気ですが、たかが夏風邪(なつかぜ)と放置しておくと重症化することもあるため、症状が強い場合は速やかに医療機関で診察を受けましょう。
3大夏風邪(なつかぜ)
①「手足口病」の特徴
3大夏風邪(なつかぜ)の一つ、「手足口病」とは、腸管で増殖するエンテロウイルス属のコクサッキーA16ウイルス、エンテロウイルス71、コクサッキーA6、コクサッキーA4・A10などによって起こる感染症です。主な感染経路は飛沫感染や、便に含まれたウイルスが手などを介して口に入る糞口感染、接触感染です。
夏から初秋にかけて流行し、保育園や幼稚園などで集団感染が発生しやすい傾向にあります。乳幼児は手足口病のウイルスに対する免疫がまだないこともあり、そのうえ衛生観念がまだ発達しておらず、密な接触を行いがちであるため、感染することが多いのです。
手足口病の主な症状は「発疹や水疱」「発熱」「のどの痛み」です。手のひらや足裏、ひじやひざ、口内などに発疹ができ、発熱を伴うこともありますが、高熱が続くことはあまりなく、発熱の多くは38度以下でおさまることが多いです。また、口内の発疹やのどの痛みによって食事がしづらくなることもあります。
ほとんどは3日〜1週間程度で治りますが、髄膜炎や小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症や、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺といった重い合併症を伴うことがまれにあります。
高熱が出たり、発熱が続いたり、嘔吐や頭痛などの症状が出た場合は早めに医療機関に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。
手足口病についてはこちらに詳しく書かれておりますのでご一読ください。
手足口病とは?|健康管理ラボ by ヤクルト本社
3大夏風邪(なつかぜ)
②「ヘルパンギーナ」
の特徴
5歳以下が全体の90%以上を占める夏風邪(なつかぜ)の一種「ヘルパンギーナ」の原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA群ですが、コクサッキーウイルスB群、エコーウイルスが原因となることもあります。感染経路は手足口病と同じく、飛沫感染。糞口感染や接触感染です。
ヘルパンギーナの主な症状は、突然の発熱とのどの強い痛み、水疱です。一般的に発熱は長くても3日程度で、口の中に水疱ができることによって食欲不振を引き起こしたり、頭痛、倦怠感などを伴ったりします。ほとんどは2〜3日程度で治りますが、熱性けいれんや脱水症の合併症を引き起こすこともあります。子どもの場合は髄膜炎や心筋炎などもまれに見られるため、注意が必要です。
基本的には軽い症状で済むことの多い感染症ですが、経過観察をしっかり行い、高熱が出たり、発熱が続いたり、嘔吐や頭痛、ぐったりしているなどの症状が見られる場合は医療機関を受診するようにしましょう。
また、ヘルパンギーナの症状が急に現れる時期「急性期」から、発症後2~4週間程度の「回復期」にかけては、便からウイルスが排出されます。おむつ交換時には排泄物を他のものに触れないようにビニール袋に入れて捨てる、トイレはふたを閉めて流す、おむつや便のついた下着に触れた場合には必ず石けんで手洗いをするなどの対策を徹底しましょう。
3大夏風邪(なつかぜ)
③「咽頭結膜熱
(プール熱)」の特徴
咽頭結膜熱は、プールを利用した際の接触やタオルの貸し借りなどから流行することがあったため、かつては「プール熱」という呼び名でも知られていた感染症です。近年はプールでの集団感染は見られなくなっています。学校保健安全法における学校感染症の一つであり、感染した場合は、主要な症状がなくなってから2日経つまでは登校禁止となります。
主な感染経路は飛沫感染、接触感染であり、原因となるウイルスはアデノウイルスであり、小児に多い病気です。主な症状は発熱や喉の痛み、結膜炎で、発熱は上がったり下がったり、高熱と微熱を繰り返し、それが4〜5日続きます。扁桃腺の腫れ、のどの痛み、頭痛や腹痛、下痢を伴うこともあります。さらに目が充血し、目やにが出るといった結膜炎症状も見られます。
咽頭結膜熱は高熱が比較的長く続くものの、ほとんどは自然に治ります。しかし、強い吐き気や頭痛、激しい咳などを伴う場合は早めに医療機関に相談してください。
石けんによる手洗いやうがいなど、基本的な感染症対策を行うとともに、咽頭結膜熱が流行しているときはタオルの共有や、感染者との接触を避けるようにしましょう。
夏風邪(なつかぜ)に
かかってしまったら?
冬にかかる風邪(かぜ)と同じように、「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱」などの夏風邪(なつかぜ)に対する特別な治療薬はありません。辛い症状を和らげつつ回復を待つ、対症療法が治療の中心となります。大切なのは「十分な休養」と「こまめな水分補給」、そして、必要に応じた市販薬の使用や、医療機関への相談です。
夏風邪(なつかぜ)にかかったら、まずは安静にして睡眠を十分取るようにしましょう。症状が落ち着いてきてもすぐには無理をせず、しっかり休むことが重要です。熱や痛みがあるとよく眠れないこともありますが、市販の風邪薬は対症療法ではあるものの、痛みやつらさを抑え、休養を取りやすくする目的で用いることもできます。
また、夏は汗をかきやすく脱水症状になりやすいため、こまめな水分補給は冬の風邪(かぜ)よりも気をつけて行う必要があります。のどや口が痛くて水分を摂りづらいときは、少量ずつにして回数を増やしたり、温度を調整したりするなど、飲みやすくする工夫をしましょう。
これらの対処を行っても辛い症状が改善しない場合や、発熱、強い吐き気や頭痛が続いたり、水分が取れなかったりする時は、自己判断はせず、早めに医療機関を受診するようにしてください。
夏風邪(なつかぜ)の
予防
「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱」などの夏風邪(なつかぜ)を予防するためには、感染対策の基本である「手洗い・うがい」「消毒」「マスク着用」を徹底するともに、定期的な換気や、咳やくしゃみが出る時に口や鼻を覆うなどの咳エチケットも大切です。
また、発症者がいる場合は、接触感染を防ぐためにタオルやコップなどの共有を避けることも大切です。
咽頭結膜熱(プール熱)の予防には、基本的な感染対策とともに、タオルの貸し借りをしないことはもちろん、プールに入った後はシャワーをしっかり浴びて体や目を洗うなどの対処を行いましょう。
夏は室内外の温度差や、高温多湿の気候によって夏バテを起こしやすくなる季節です。夏風邪(なつかぜ)は健康な人でもかかる病気ですが、睡眠不足や自律神経の乱れ、食欲不振などによって体の抵抗力が落ちると夏風邪(なつかぜ)にもかかりやすくなるため、注意が必要です。
夏はエアコンや冷たい飲食物の影響で、思ったよりも体が冷えています。冷たい食べ物や飲み物は控えめにして胃腸を労わることや、シャワーだけで済まさずにお風呂に浸かるなど、体を温めることも重要です。
エアコン設定温度はあまり低めにせず、直接風が当たらないように風向きを変えたり、長袖の服を着たりするなど工夫しましょう。