乳酸菌の種類

乳酸菌は乳糖やブドウ糖などの糖類を分解して乳酸を多量に作る細菌の総称で、丸い形の乳酸球菌や、棒や円筒の形をした乳酸桿菌がいます。
これまでに数多くの乳酸菌が発見されていますが、自然界にはまだまだ見つかっていない乳酸菌がたくさん存在すると言われています。
乳酸菌は腸内環境を整えておなかの調子を良くしたり、病気から身をまもったりする、人体にとって有益な菌であることから『善玉菌』『良い菌』とも呼ばれます。

なお、善玉菌や悪玉菌は一般的に使われている呼び方ではありますが、微生物自体には善悪はなく、ヒトの体にとって有益か有害かの違いがあるだけです。
そのため、健康管理ラボでは微生物が人体に与える影響を客観的に判断して『（体に）良い菌』『（体に）悪い菌』という表現を採用しています。

乳酸菌は総称であり、学術的にはそれぞれ正式な学名があります。例えば、「乳酸菌 シロタ株」と呼ばれる菌は、正式名称を「ラクチカゼイバチルス パラカゼイ シロタ株（旧名称：ラクトバチルス カゼイ シロタ株）」と言います。
菌の名は学名で表します。学名は、属名と種名の2つから構成されます。乳酸菌 シロタ株の正式名称「ラクチカゼイバチルス パラカゼイ シロタ株」はラクチカゼイバチルスが属名、パラカゼイが種名です。

乳酸菌の世界はとても広く、今わかっているだけでも数百種類の乳酸菌が見つかっています。
2020年に乳酸菌 シロタ株の属していた「ラクトバチルス属」とそれに近いグループの分類が大きく見直され、乳酸菌 シロタ株は「ラクトバチルス属」から「ラクチカゼイバチルス属」になりました。乳酸菌 シロタ株はその中の「パラカゼイ」という種に分類されています。同じ種の中でも、特に胃酸や胆汁に強く、さまざまな健康効果が確かめられている菌株です。

多くの乳酸菌はヨーグルトや漬物など私たちの身近な発酵食品の中で活躍していて、それぞれ違った特徴や健康効果を持っています。世の中にはまだ知られていない乳酸菌がたくさん存在していると考えられていますから、今後も研究が進む中で、さまざまな個性を持つ乳酸菌が発見されることでしょう。

漬物やキムチなどの発酵にかかわる乳酸菌を「植物性乳酸菌」、ヨーグルトやチーズなどを発酵させる乳酸菌を「動物性乳酸菌」と呼ぶことがあるようです。
しかし、「植物性」と呼ばれる乳酸菌が植物以外の場所から分離されることもありますし、その逆もあります。
乳酸菌の特性は、どのような物質を栄養源とするか、どのような環境（温度、pH、塩分濃度など）に適しているかといった菌自体の性質によるところが大きく、植物性・動物性という分類はあまり意味がありません。

乳酸菌が糖類から作り出す乳酸には、腸内を酸性に保つことで悪い菌の増殖をおさえる効果があります。悪い菌が減り、良い菌が増えることで腸内環境がすこやかに保たれます。
一般的に知られる乳酸菌のはたらきは「腸内環境を整える効果」ですが、そのほかにも、免疫細胞の一種であるNK（ナチュラル・キラー）細胞を活性化する機能を持つ乳酸菌や、アレルギー反応を和らげる乳酸菌もあり、同じ『乳酸菌』でも、菌ごとの特性によってさまざまなはたらきを持つことがわかっています。