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乾燥肌・敏感肌とは?

美容対策

肌のかさつきやかゆみ、化粧品使用時のピリピリ感。これらは肌のバリア機能低下のサインです。季節の変わり目や体調不良で一時的に起こることもあれば、慢性化してしまうことも。加齢や環境、生活習慣など原因は多岐にわたり、適切なスキンケアや生活習慣の見直しなどが改善の鍵です。

監修
赤須医院院長/医学博士・日本皮膚科学会専門医 赤須玲子 先生

乾燥肌の代表的な症状

乾燥肌とは水分や皮脂が不足してうるおいがなくなっている肌の状態であり、ドライスキンとも呼ばれます。季節の変わり目や睡眠不足など、環境や体調によって一時的に肌がかさつく軽度の症状もあれば、「皮脂欠乏症」「乾皮症」など診断名がつくような重度の症状もあり、乾燥を伴う肌の幅広い症状を指します。

乾燥肌の症状には肌のかさつきやごわつき、ひび割れ、かゆみや湿疹などがあります。

「乾燥肌」は水分と皮脂が不足しがちな肌質を指す言葉としても使われます。皮脂が過剰に分泌されがちな「脂性肌」、水分と皮脂のバランスが取れている「普通肌」、水分は不足するが皮脂は十分に足りている「混合肌」と4種類の肌質に比較・分類されることが多いです。

乾燥肌が起こるしくみ

皮膚は内側から皮下組織、真皮、表皮の順に構成されています。皮下組織は体温の調節や肌への栄養供給、老廃物の排出などを担当し、真皮は肌のハリや弾力を保つ役割を持ちます。表皮は、外部の刺激から肌の内部を守るはたらきをしています。

表皮は内側から順に基底層、有棘層、顆粒層、角層の4つで構成されていて、もっとも外側にある角層は肌のバリア機能を担っており、角質層とも呼ばれています。

角層は角層細胞が細胞間脂質を挟んで重なり合う層状の構造をしており、健康な肌の角層細胞には水分が20%〜30%程度含まれています。汗と皮脂が混ざった皮脂膜が表面を保護して水分の蒸発を防いだり、外部の刺激から肌を守ったりしています。また、皮膚常在菌による代謝物が肌表面を弱酸性に保ち、病原菌の感染などを防ぎます。

バリア機能が低下すると、外部刺激を受けやすくなると同時に、肌の水分が蒸発しやすくなります。その結果、肌のかさつきやかゆみといった乾燥肌の症状が現れます。

乾燥肌になるさまざまな要因

乾燥肌の原因には、加齢やターンオーバーの乱れ、睡眠・栄養不足、ストレスなどの内的要因の他、空気の乾燥や紫外線といった外的要因があります。

加齢によって皮脂の分泌量は徐々に減少していきます。ターンオーバーが遅くなると、本来剥がれ落ちるべき角層細胞が肌表面に蓄積して角層が厚く硬くなって水分を保持しにくい状態となるため、乾燥を招きます。逆にある種の皮膚疾患ではターンオーバーが早まることで、水分保持力の低い未熟な細胞が角層を形成するため、皮膚の表面はかさかさしてきます。

睡眠は成長ホルモンが分泌されて肌の細胞が修復・再生される重要な時間であり、睡眠不足が続くとこのプロセスが十分に行われません。

たんぱく質やビタミン、必須脂肪酸などの栄養素が不足すると、角層をつくる材料が足りなくなります。ストレスが続くと自律神経のバランスが乱れ、睡眠不足や血行不良を招き、肌への栄養供給が滞ってしまいます。

冬場は大気が乾燥し、夏場のエアコンも湿度を下げ、肌の水分が奪われやすくなります。紫外線は角層にダメージを与えるため、紫外線の強い季節には注意が必要です。

また、熱いお湯で入浴したり、体を洗う時などに肌を強くこすったりすると、必要な皮脂を洗い流してしまい、肌が乾燥しやすくなります。

敏感肌とは?

敏感肌という言葉に明確な定義はありませんが、「何らかの肌トラブルを起こしている状態、もしくはその手前の状態」を指す用語と捉えられています。

さまざまな刺激に対して反応しやすく、肌の違和感や乾燥、かさつき程度のものから、高度の皮膚炎まで多彩な症状を示します。季節の変わり目や、生理などの体調の変化が要因で一時的に肌が不安定な状態になるケースもあります。皮膚科疾患の中では、脂漏性皮膚炎や大人ざ瘡、接触皮膚炎や光線過敏症なども敏感肌に含まれます。

敏感肌は、先に述べた4種類の肌質の中で乾燥肌の人に起こりやすい傾向があります。

乾燥肌・敏感肌対策

乾燥肌も敏感肌も、肌のバリア機能が低下している状態です。効果的な対策としては、肌に負担をかけないこと、保湿、生活習慣の見直しなどが挙げられます。

洗浄力の強いクレンジングや洗顔料は避け、洗浄力がマイルドなものを選択しましょう。熱いお湯は必要な皮脂まで洗い流してしまい、肌のバリア機能が低下する要因となるため、人肌程度のぬるま湯で洗うのが基本です。

また、スクラブ入りのものや、タオルでゴシゴシ洗うのは避けてください。泡で優しく洗い、すすぎ残しがないようにしっかり洗い流しましょう。

洗顔や入浴後には肌の水分が失われないよう、すぐに保湿する必要があります。化粧水で水分を与え、油分が含まれる乳液やクリームで水分の蒸発を防ぎます。それでも乾燥を感じる場合には、保湿力の高いクリームを重ね塗りするのが良いでしょう。

暖房を使う際には加湿器や水を入れた容器、濡れタオルなどを活用して部屋が乾燥しないように、室内環境にも気を配ることが必要です。

十分な睡眠時間の確保や、栄養不足の解消も重要です。ビタミンAやビタミンB群、ビタミンC、たんぱく質や必須脂肪酸、亜鉛を意識して摂り、バランスの良い食生活を送りましょう。