からだの

おならがでてしまう原因とは?

腸内環境腸内フローラ対策食生活便通

おならは、飲み込んだ空気や腸内で発生したガスが肛門を通じて排出される生理現象です。窒素、二酸化炭素、酸素、水素、メタンなどがおならの主な成分で、これらは腸内での消化や腸内細菌のはたらきによって発生します。
また、体調や食生活によっておならの臭いや量は変化するため、体の状態や隠れた病気を知る目安の一つとなります。生活習慣の見直しや体調管理の重要なヒントにもなるおならの原因や基礎知識に加え、日常生活で役立つ対策についても解説します。

監修
糖尿病専門医・救急科専門医・総合内科専門医・抗加齢医学専門医 福井美典 先生

おならは健康の
バロメーター

おならは、腸内環境や健康状態を反映するバロメーターです。腸内フローラが乱れて悪い菌が増えると、おならの臭いが強くなることがあります。逆に、腸内環境が改善するとおならの臭いが弱まり、回数や頻度も正常な範囲に落ち着きます。

また、妊娠や生理の時期におならの量や臭いに変化が起きることがあります。女性ホルモンが水分や栄養を体に蓄えようとするはたらきや、腸のぜん動運動を低下させるはたらきの影響で便秘になり、ガスがたまりやすくなるのが一因です。
腸の動きが低下すると便がたまった状態になり、腐敗によって悪い菌が増えてしまうため、おならも臭くなりやすいのです。

おならはなぜ臭いの?

腸内がすこやかな状態であれば、おならの成分は窒素などの無臭のガスがほとんどなので、悪臭がすることはあまりないはずです。

悪臭の原因となるのはアンモニアやインドール、スカトール、硫化水素などの成分です。これらは臭いの強い食品や動物性のたんぱく質を摂りすぎた時に、腸内にすむ悪い菌の一種、ウェルシュ菌などを発生させると言われています。

適切なおならの回数

一般的に、おならの回数は1日に10回程度が正常な範囲だとされています。ただし、その回数は食生活や腸内環境によって異なり、個人差があります。そのため、適切な回数も人によって異なります。おならの回数が多い、少ないというだけでは健康状態の良し悪しは判断できません。

健康状態を確認したいなら、おならの回数よりも、臭いやおなかの張り、不快感がないか、といった点に着目して判断した方が良いでしょう。

おならが
出やすい人って
どんな人?

食物繊維には良い菌のエサになったり、排便を促したりする効果があるのですが、摂りすぎることで腸内ガスが増え、おならが出やすくなる傾向があります。

また、便秘になると便が腸内にたまるため、ガスが発生しやすくなり、おならの量が増えたり臭いがきつくなったりします。

おならには、腸内で発生したガスの他に飲み込んだ空気も含まれます。そのため、空気を飲み込む癖がある、いわゆる吞気症の人もおならが出やすくなります。
また、乳製品に含まれる乳糖を消化吸収できない乳糖不耐症の場合も、牛乳を飲むとおなかにガスがたまっておならが増えることがあります。

おならが止まらない場合はまず食生活を見直すべきですが、ガス抜き体操やガス抜きポーズと呼ばれる動きでガスを意識して排出するのも良いでしょう。

<ガス抜きポーズ>
① 仰向けになり、片ひざを曲げて両手で胸に引き寄せます。腰が床から浮きすぎないようにするのがポイントです。
② ひざを引き寄せたまま、腰を伸ばし15秒ほど深呼吸し、反対側も同じように行います。

ガス抜きのポーズには、仰向けに寝て、両ひざを同時に胸に引き寄せる方法もあり、いろいろな動きがあるので自分にとってやりやすいものを選んでみてください。

「ガス抜きポーズ」図解

おならと食生活

肉類など高脂肪の食品は、腸内の悪い菌の大好物です。悪い菌のはたらきを強めてしまうので、おならが臭くなりやすい食べ物と言えます。
また、食べる速さや飲み物の種類もおならに影響を与える可能性があります。例えば、よく噛まずに早食いをすると、食べ物と一緒に空気も飲み込んでしまい、胃腸に空気が溜まってしまいます。炭酸飲料も、炭酸に含まれている二酸化炭素が胃腸に溜まるため、どちらもおならの量が増える原因となります。

おならの臭いや量が気になるなら、まずは食生活のバランスを見直し、よく噛んでゆっくり食事を摂るようにしましょう。

食物繊維は摂りすぎるとガスが増え、おならが出やすくなる要因となりますが、摂る量が少なすぎても便秘を引き起こし、おならの原因となるため、適切な量を摂ることが大切です。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では食物繊維の1日の摂取基準を以下のように定めています。

食物繊維の食事摂取基準(g/日)

年齢等 男性(目標量) 女性(目標量)
0〜5(月)
6〜11(月)
1〜2(歳)
3〜5(歳) 8 以上 8 以上
6〜7(歳) 10 以上 9 以上
8〜9(歳) 11 以上 11 以上
10〜11(歳) 13 以上 13 以上
12〜14(歳) 17 以上 16 以上
15〜17(歳) 19 以上 18 以上
18〜29(歳) 20 以上 18 以上
30〜49(歳) 22 以上 18 以上
50〜64(歳) 22 以上 18 以上
65〜74(歳) 21 以上 18 以上
75以上(歳) 20 以上 17 以上
妊婦 18 以上
授乳婦 18 以上

ヨーグルトや納豆といった発酵食品に含まれる乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌などのプロバイオティクスに加え、これら微生物のエサとなり増殖を促すオリゴ糖などのプレバイオティクスを摂取し、腸内をすこやかに保つことができれば、おならの臭いの改善にもつながります。

おならと運動

デスクワーク中心の座りっぱなしの生活や慢性的な運動不足によって胃腸の活動が低下すると、おなかにガスがたまりやすくなり、結果、おならも増えてしまいます。

軽い運動は腸の動きとガスの排出を促進してくれます。特別な運動である必要はありません。毎日の生活に取り入れやすい、ストレッチやウォーキング、ジョギングやヨガなどの運動をガス抜きポーズにプラスして取り入れてみると良いでしょう。

おならと病気

おならの回数や臭いなどに違和感をおぼえた時には、その背景に思わぬ病気が隠れていることがあります。

精神的なストレスなどが原因で下痢や便秘を繰り返す過敏性腸症候群や、大腸の粘膜に炎症が起きる潰瘍性大腸炎などでは、腹部の張りやガス・おならの増加が症状の一つとして現れることがあります。また、ピロリ菌感染などが原因で起こる慢性胃炎や胃潰瘍でも、胃の炎症やはたらきの低下により消化がうまく進まず、上腹部の膨満感やガスがたまりやすくなり、場合によってはおならやおなかの張りの原因となります。

逆に、腸閉塞や進行した大腸がんなどが原因で腸の通りが悪くなり、便やおならがほとんど出なくなることもあります。おならの異常に加え、血便などの症状が見られる場合は特に注意が必要です。

たかがおならと思わず、違和感がある際には医療機関を受診し、医師による適切な診療を受けるようにしましょう。

ストレスとおなら

ストレスは過敏性腸症候群や呑気症の一因になるため、おならに影響を及ぼす可能性があります。また、胃腸の動きを調整する役割を持つ自律神経がストレスによってバランスを崩し、腸のぜん動運動が低下してガスをため込んでしまい、おならの原因となることもあります。
ストレスによっておならが増え、それを我慢することがさらにストレスになるという悪循環が生まれてしまうこともあります。

おならを我慢するのは
体に悪い?

おならは腸にたまったガスを排出する生理現象なので、我慢はしない方がいいでしょう。おならを我慢し続けると、おなかの張りや痛み、便秘の原因になってしまいます。

体のためにもできるだけ我慢せず、早食いをやめたり軽い運動をしたりするなどの対策で、おならを改善しましょう。

おならに
異常がある時は
自己判断せず病院に

おならは健康のバロメーターです。おならの臭いや量などに悩んでいる時は、まず食事のバランスを見直したり、デスクワークの合間にストレッチなどの軽い運動を取り入れたり、ストレスを発散したり、というように、生活習慣の改善に取り組んでみましょう。

ただし、生活習慣を見直しても状況が変わらない場合や、長期間にわたって臭いおならや違和感などの不調が続く場合は、病気などセルフケアの範囲を超えた問題が潜んでいる可能性があります。「体質だから仕方ない」と諦めたり、市販薬だけで対処しようとしたりせず、専門家の力を借りることも選択肢に入れてください。

医療機関を受診する際は、単に「おならが気になる」と伝えるだけでなく、「いつ頃から変化したか」「どのような臭いがするか」「排便のペースはどうか」などをあらかじめ記録しておき、受診時に医師に伝えることでより正確な診断につながります。おならのことはなかなか人に話しづらく、恥ずかしいと感じるものですが、一人で抱え込まず、早めの相談を心がけましょう。