人も地球も健康に Yakult

トップメッセージ

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はじめに

2025年3月期の売上高は、4,996億円、営業利益は553億円、経常利益は758億円、親会社株主に帰属する当期純利益は455億円となりました。日本は、ヤクルト1000シリーズの実績が伸び悩み減収減益、海外は、米州地域が伸長し増収増益となりましたが、連結全体では減収減益でした。
2026年3月期については、売上高5,060億円、営業利益585億円、経常利益は745億円、親会社株主に帰属する当期純利益490億円、1株当たり当期純利益は167円13銭という連結業績予想を発表しました。日本では、ヤクルト1000シリーズの糖質オフ商品が宅配、店頭の両チャネルに出揃い、改めてお客さまへのアプローチの機会を増やし、販売本数を積み上げていきます。海外では、米州地域の実績が継続的に伸長し、アジア・オセアニア地域は底打ちから再成長に向かうことで、全体を押し上げます。

株主還元方針の変更と配当について

2月に株主還元方針の変更を発表しました。株主還元については、 安定的かつ継続的な利益還元を行うことを経営上の重要課題の一つととらえています。
配当については、累進配当の考え方に基づき、継続的な増配を目指すことを最優先とし、将来の事業拡大や収益向上を図るための資金需要および財政状況ならびに当期の業績などを総合的に勘案して、配当金額を決定します。今期は1株につき2円の増配、年間配当予想を66円と発表しました。
加えて、総還元性向70%を目安とし、市場環境やキャッシュ・フロー等を勘案したうえで、機動的な自己株式の取得を実施します。
自己株式の取得は、2030年度までに1,000億円以上の実施を見込んでいます。

各事業の取り組み

日本の飲料食品事業

前期における乳製品全体の1日あたりの販売本数は約968万本、前年と比べ8.8%減少しました。
今期は主力商品の中でも利益貢献の高いヤクルト1000シリーズの本数増加に注力します。この押し上げを織り込み、今期の乳製品全体の販売本数の目標を980万本としています。

(ヤクルト1000シリーズ)

前期における1日あたりの販売本数は301万本、前年と比べて5.7%減少しました。
急激な需要の増加が一巡し、販売本数は徐々に減少しているのが現状です。需要が増加していく中では、新しい機能を訴求した商品に対して、たくさんの方々に手に取っていただく機会が増えました。しかし、商品価値が十分に伝わらず、継続的な飲用に結びつかなかった方々も多くいたことは、課題として認識しています。
一方、ヤクルト1000シリーズの糖質・糖類、カロリー、甘さを気にされるお客さまの声にお応えし、商品化したのが、宅配チャネルの「Yakult(ヤクルト)1000糖質オフ」、店頭チャネルの「Y1000 糖質オフ」です。これら商品の発売を契機に、離れてしまったお客さまや新しいお客さまへのご紹介をさらに進め、継続して飲用いただける方々を増やしていきたいと考えています。
今期については、ヤクルト1000シリーズの1日あたりの本数目標を330万本としました。

宅配チャネルで販売する「Yakult(ヤクルト)1000」と「Yakult(ヤクルト)1000 糖質オフ」をあわせた本数目標は210万本としています。
「Yakult(ヤクルト)1000 糖質オフ」の状況ですが、既存のお客さまへのご紹介が先行し、商品の入れ替わりが進んでいますが、足元の実績は1日あたり100万本に達し、皆さまに受け入れられたと感じています。現在、新しいお客さまづくりを推し進めていますが、商品内容を理解し、継続的に飲用していただくまでには少し時間がかかります。
新しいお客さまによる押し上げ分が実績に表れてくるのは、これからです。
店頭チャネルにおいては、4月から「Y1000 糖質オフ」を全国発売しました。
今期の「Y1000」と「Y1000 糖質オフ」をあわせた本数目標は120万本としています。「Y1000」と「Y1000 糖質オフ」が店舗の棚に並び、販売促進活動の活発化や多くの媒体に興味をもっていただける広告展開も実施しており、露出が増えています。
従来商品とのカニバリもありますが、糖質オフ商品を待ち望んでいた方々は多くいらっしゃいますので、実績は徐々に上がっていくと考えています。4月度の実績は精査中ですが、順調なスタートが切れました。

海外の飲料食品事業

前期の海外全体の販売本数を振り返ると、通年では前年をわずかに下回りましたが、中国の実績が底打ちしたことで、第3、第4四半期の販売本数は前年を上回りました。
そして、今期、第1四半期も継続して前年を超えています。まだ、事業所間の格差はありますが、安定成長の事業所はそのまま伸長、前期を下回る事業所は底打ちから回復フェーズに向かい、全体を押し上げる計画としています。

(アメリカ)

前期の販売本数の伸長率は5%を超え、過去最高本数となりました。
取引店舗数は順調に増え、約2万店舗へ配荷していますが、配荷対象店舗の半分にも達しておらず、販路拡大はまだまだ可能です。
進出から時間が経過した西海岸では、全体的に行き届いていますが、中部、東海岸は、露出が低い店舗も数多くあり、店舗あたりの販売本数を増やしていく取り組みも必要です。
生産面では、カリフォルニア工場の供給力に余裕がなくなってきていますが、需要に応えられるよう、稼働効率向上に努め、確実に前年を超えていきます。将来の需要を考慮すると供給力を増やす必要があるため、南東部のジョージア州に2026年9月の生産開始に向けて、新工場の建設を進めています。カリフォルニア工場の約6倍の広さを保有し、既存商品の増産に加えて、環境を意識した商品、高付加価値商品なども生産可能です。

(メキシコ)

前期の販売本数の伸長率は3%を超え、過去最高本数となりました。
進出から長い時間が経過し、商品の理解度、浸透度が高いことが、安定成長の土台になっています。
メキシコでは毎年、値上げを実施していますが、今期も物価上昇に合わせて、2月に実施しました。そのうえで販売本数は順調に推移していますので、増益のけん引役であることは変わりません。

(ベトナム)

前期の販売本数の伸長率は約20%で、過去最高本数となりました。
販売地域の拡大、店舗あたりの本数増といった深掘りの余地は大きく、今後の伸長ポテンシャルが高い事業所です。今期も順調な販路拡大により、2桁成長が期待できます。

(中国)

前期の販売本数は、約8%減少しました。しかし、上期の前年対比が約17%の減少に対し、下期は約3%の増加と底打ちが見られます。
景況感の悪化に伴う消費の低迷は継続すると予想されますが、試行錯誤しながら営業施策を次々に実施し、その成果が表れたのが下半期です。
そして、今期の第1四半期も前年を上回りました。今後も短期、中期、長期的な取り組みを並行して展開し、結果を評価、施策を見直しながら、効果的な活動をしていきます。また、販売本数の回復に加えて、経費の見直しも継続し、可能な限り利益確保を図っていきます。
直近の施策としては、4月に「ヤクルト マスカット風味」を発売しました。昨年、発売した「ヤクルト ピーチ風味・鉄プラス」に続く商品です。
決してフレーバー展開に商品施策の軸足を移しているわけではなく、お客さまの興味を引きつけ、商品を手に取るきっかけづくりであり、従来どおり、「乳酸菌 シロタ株」の訴求が土台にあることに変わりはありません。

(インドネシア)

前期の販売本数は、約9%減少しました。消費鈍化の影響が大きいですが、四半期を追うごとに対前年の減少幅は縮小しています。
今期については、プラス転換は必達目標と考えています。
スーパーマーケットへの配荷促進、SNSを活用したキャンペーン、ECサイトでのオフィシャルショップ開設も進めています。
そして、中国で成果が表れている商品政策の横展開として、インドネシアマーケットに適する普及型商品も準備しています。
多方面に向けて施策実施を予定しており、需要の掘り起こしに必ず結びつくと考えています。
また、景況感が悪い時ほど、ヤクルトレディ組織が支えになりますので、組織強化をさらに進め、約11,000名のパワーを最大限に発揮する年にしたいと思います。

結び

最後になりますが、今期から新しい「中期経営計画」が始まります。事業戦略、財務・資本戦略、非財務戦略の3本柱の考え方を皆さまと共有できればと思っています。

株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長
成田 裕

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