人も地球も健康に Yakult

今後の経営展望について

~2008年3月期 通期 決算説明会(抜粋)~

はじめに

本日、東京証券取引所におきまして平成20年3月期決算を、発表させて頂きました。
本決算は、医薬品事業ならびに国際事業が順調に進展しましたので、中間期の修正計画を上回る着地となりました。また、長年の懸案事項の一つでありました「プリンストン債」の事後処理も、ようやく解決し、純利益を押し上げることとなりました。その結果、連結売上高のみならず純利益につきましても、過去最高の実績となりました。本当にありがとうございました。

今期の国内の飲料・食品事業の計画について

それでは、各事業部門別に、今期の計画に関する考え方について、ご説明いたします。最初に、国内の飲料・食品事業です。

近代化

国内の飲料・食品事業における私のテーマは、「近代化」でございます。
この「近代化」という言葉は、ヤクルト本社を含めたヤクルトグループ全体が、グローバル企業として脱皮していくための「合言葉」として使っております。
その中で、特に、国内販売会社の事業、機能、組織などの「近代化」は、どれをとっても急務であるということは、承知しております。
そこで、昨年度、各支店ごとに、販売会社の代表メンバーで構成されました「近代化推進協議会」を設立し、地域別に、販売会社近代化への、意思統一と意見の収集などを行っています。
今後、皆様に国内の「近代化」について順次ご報告できるものと考えております。

原材料高

さて国内の飲料、食品業界は、「原油の高騰による原材料高」という大きな課題を抱えております。
当社も、今年度は、脱脂粉乳や糖類などの高騰で、昨年度と比較しまして、乳製品の原材料や仕入れ商品の買取価格の値上がりで、合計約21億円以上、原価関連が上昇すると予測しています。
現在、この上昇分につきましては、一般管理費や販促経費の削減ならびに、販社への割戻し策などを見直すことで対応し、当面は、現状価格を維持する方向で努力していきます。

新商品

そして、乳製品、ジュース・清涼飲料の、更なるテコ入れ策として、新商品の積極的な導入も必要であると考えております。
乳製品では、現在、胃の不定愁訴に対して、改善効果が期待できるビフィズス菌飲料「BF1」を、7販売会社でのテスト販売から、順次、販売会社数を増やして、本格導入を図っていきたいと考えています。
また、店頭チャネル向けに、来月から、女性の健康や美容を意識した乳製品乳酸菌飲料「ヤクルトSHEs」を投入します。
ジュース・清涼飲料類では、「黒酢ドリンク」をはじめ、当社の主力となる健康機能性訴求商品群にもテコ入れし、市場の活性化を図る予定でいます。

今期の国際事業の計画について

次に、国際事業ですが、今年の私共のテーマは、 「FUKYU(普及)」、すなわち「ペネトレーション」です。
今期は、進出済みの既存事業所での更なる成長を促進していく年といたします。 販売数量は、連結ベースで、プラス10%を計画しています。

インド・ベトナム

特に、今年1月から、本格的な製造、販売を開始いたしました「インド」は、現在、毎日約5千本を販売しています。
そして、4月に、テスト販売から本格製造、販売をスタートさせ、すでに毎日約1万3千本を販売しています「ベトナム」。この両国での宅配基盤を構築するために、プロバイオティクス・ヤクルトの「FUKYU(普及)」活動、ペネトレーションを徹底いたします。

中国

それから中国。
いま、中国の経済成長は、目覚しいものがありますが、ヤクルト事業の成長も今までにない早いものとなっています。国際事業において、今後も、中国での展開にウェイトをかけることにしています。中国では、1つの支店をつくり、新たな地域に進出することは、新しい1つの国に進出する以上のパワーが必要となるからです。
そこで、今期の中国は、既存拠点の営業基盤の強化を図ると同時に、計画に沿った都市進出も行い、毎日約100万本の販売を目標とします。そして、2009年の天津と北京、2010年の、蘇州、杭州、青島などの黒字化達成を目指してまいります。

その他の国々

また、台湾、香港、インドネシアなど、進出して年月も経て、ヤクルトの普及がある程度進んだアジア各国においては、日本で売れている乳製品や機能性飲料の中から、その国にふさわしいブランド品を順次導入していく予定です。

今期の医薬品事業の計画について

さて、次に医薬品事業です。
厚労省は、医薬分野でのイノベーションを促進するという方針を打ち出しています。これは、革新的新薬を生み出せる企業に対し、明るい将来を与える意図があるものと思われます。当社にもチャンスが巡ってきたと考えています。
今後の当社医薬品事業のテーマは、グローバル新薬の開発に注力しつつ、得意とする「がん、ならびにその周辺領域」に持てる資源を集中、集約させ、「日本一のオンコロジー・カンパニー」を目指していくというものです。
特に、今期の開発上の課題は、一つ、「エルプラットの『大腸がんアジュバント(術後補助化学療法)ならびに、胃がん』の効能追加申請」、次に、『IHL305』(カンプトのリポソーム製剤)の第2相臨床試験の準備、三つ目が、『BCRP阻害剤』(カンプト耐性克服剤)の治験申請に向けた準備など、開発中の薬剤の迅速化が大きな課題となります。

今期の化粧品事業の計画について

あと、化粧品事業ですが、化粧品事業については、厳しい現状ではありますが、将来、必ず、一つの柱となる事業に育成したいと考えております。そのために、本年3月に、旧藤沢工場を、五感に訴える工場、お客様に見て体感していただける工場として大規模にリニューアルし、工場名も「湘南化粧品工場」と改めました。
これを機に、アンチエイジング世代のお客様を中心にスキンケアの重要性、大切さを気づいていただくカウンセリング営業スタイルへの転換を図り、「パラビオ」以下、スキンケアブランドの徹底展開を図ってまいります。

おわりに

最後に、私は、以前から、「ROEの改善を図っていきます」とお伝えしていますが、今期につきましても、引き続き、総合的な見地から、その改善に努力してまいります。状況をみて、機動的に「自社株買い」も推し進めてまいります。そして、将来は、10%達成を目指していきたいと考えております。
以上、今後とも、「企業価値」の向上に、今まで以上、努力してまいりますので、皆様、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長
堀 澄也

トップへ戻る