人も地球も健康に Yakult

気候変動 マテリアリティ

ヤクルトのアプローチ

ヤクルトのアプローチ

人の経済活動による気候変動の問題は、地球温暖化の影響による災害の発生や生物多様性の損失等、地球規模でさまざまなリスクを顕在化させ、全世界で対策が急がれています。ヤクルトグループが事業を継続していくうえで、気候変動は重要な課題であると認識しています。脱炭素社会の実現が求められる中において、ヤクルトグループとして定量目標を定め、さらなる省エネ推進や、太陽光発電設備の設置等による再生可能エネルギーの積極的導入等を行うことで、温室効果ガス排出量を削減します。

貢献するSDGs

CO2の削減を推進

本社工場やボトリング会社では、環境に配慮した設備の導入や照明のLED化、生産の効率化等を行いCO2削減を推進しています。また、クリーンで再生可能なエネルギーである太陽光発電も取り入れています。特に国内13工場において、電力を実質的に再生可能なエネルギー電力に切り替えました。

  • 気候変動に具体的な対策を
  • パートナーシップで目標を達成しよう

主な取り組み

ヤクルトグループ環境ビジョン

世界では、気候変動問題をはじめとする、さまざまな環境問題が深刻化しています。ヤクルトグループは世界40の国・地域に展開しており、現地生産・現地販売を基本とした事業活動を推進していますが、それはいいかえると、世界各地の社会や環境にプラス面だけではなく、マイナス面も含め影響を与えているということと認識しています。
ヤクルトグループは、地球環境へのマイナスの影響を減少させ、プラスの影響を与える取り組みを推進していくために、2021年3月、人と地球の共生社会の実現を目指す「ヤクルトグループ環境ビジョン」を策定しました。2050年のあるべき姿として「環境ビジョン2050」を定め、バックキャスティング思考に基づいた中短期のマイルストーンも策定して、実効性のある取り組みを推進していきます。

ヤクルトのアプローチ

生産・販売部門でのCO2削減の取り組み

本社工場やボトリング会社では、照明のLED化、設備や生産システムの効率化、太陽光発電の活用等でCO2削減を推進しています。また、製品貯蔵タンク用冷却水の供給ポンプを間欠的な運転方法に変更することにより、電力使用量を削減し、CO2を削減しました。
販売会社のヤクルトレディが使うお届け車両も、CO2排出量削減を目的とした電気自動車(コムス)を導入しています。

ヤクルトのアプローチ

岡山和気工場のソーラーパネル

ヤクルトのアプローチ

電気自動車(コムス)

国内13工場の電力を再生可能エネルギーへ

2022年4月には国内12工場、7月には湘南化粧品工場において生産工程で使用する購入電力を、契約先の電力会社が提供する、実質的に再生可能なエネルギー電力にすべて切り替えたほか、兵庫三木工場においては、太陽光発電設備を100kWから1000kWに増強しています。
その結果、本社工場・ボトリング会社のCO2排出量は、2018年度比で62.4%減となっています。
  • ※ 福島工場、茨城工場、富士裾野工場、兵庫三木工場、佐賀工場、岩手ヤクルト工場、千葉ヤクルト工場、愛知ヤクルト工場、岡山和気ヤクルト工場、福岡ヤクルト工場、富士裾野医薬品工場、ヤクルトマテリアル富士裾野工場
  • ※ 電力系のCO2排出係数は、各電力会社の調整後排出係数を使用しています。

Pick Up!

担当者に聞きました

電動トラックの導入で環境に配慮し、従業員の健康を守る(広州ヤクルト)

電動トラックの導入で環境に配慮し、従業員の健康を守る(広州ヤクルト)

中国では、CO2排出量削減や大気汚染対策のため自動車の排気ガス規制が厳格化される中、広州ヤクルトでは2018年から電動トラックの導入を推進しています。担当者が、これまでに直面したさまざまな課題を中心に取り組みを紹介します。

中国の大気汚染対策をリードする都市、広州

中国広東省の州都である広州は、北京、上海に次ぐ中国第3の都市です。貿易が盛んな地域として、日系企業も数多く進出しています。また、深刻な大気汚染が報じられることも多い中国の中で、積極的に環境対策に取り組み、2013年度比でPM2.5は58.5%減り、二酸化窒素は44.2%減少(3年連続目標達成)し、中国の中心都市の中では優秀な数値を維持しています。

市内を走る電動トラック

市内を走る電動トラック

空気汚染物質 広州市
(2022年)
1級基準 2級基準 補足
PM2.5 22㎍/㎥ 15㎍/㎥ 35㎍/㎥ 毎日基準値をクリア、国家中心都市の中で優秀な数値を維持。2013年との数値比較では58.5%の減少
PM10 39㎍/㎥ 40㎍/㎥ 70㎍/㎥ 毎年数値が減少しており、2013年比で45.8%の減少
二酸化窒素 29㎍/㎥ 40㎍/㎥ 40㎍/㎥ 3年連続で目標を達成。2013年比で44.2%の減少
オゾン濃度 179㎍/㎥ 100㎍/㎥ 160㎍/㎥ 毎年の数値が増減、2013年と比べて14.7%上昇
二酸化硫黄 6㎍/㎥ 20㎍/㎥ 60㎍/㎥ 毎年比較的に低い基準で推移しており、かつ減少傾向。2013年比で70.0%の減少
一酸化炭素 1.0mg/㎥ 4.0mg/㎥ 4.0mg/㎥ 毎年比較的に低い基準で推移。2013年比で33.3%の減少
電動トラックの導入により排気ガスを削減

中国は、2030年までにGDP当たりのCO2排出量を2005年比で65%削減、そして2060年までにカーボンニュートラル実現の目標を掲げています。この目標の達成に向けて、自動車の排気ガスへの規制は厳しくなる傾向です。特に、ディーゼルトラックへの規制は厳しく、一部の都市ではトラックの通行も規制されるようになりました。ヤクルトにとっては、工場で生産した「安全・安心」な商品を新鮮な状態で直接お客さまのお手元や店頭にお届けすることは世界共通の事業の柱です。特に亜熱帯に位置して高温多湿な気候の広州では、冷蔵トラックの使用は欠かすことはできず、2018年ごろから政府の排気ガス規制が事業にも影響を及ぼすようになってきました。このため、広州ヤクルトは、電動トラックの導入を進めてきました。電動トラックの価格はディーゼルトラックと比較して3~4割程度高額ですが、中国政府は電動車の普及のために補助金制度を設けており、広州ヤクルトの電動トラック導入にも約5%の補助(2021年当時)がありました。

充電中の電動トラック

充電中の電動トラック

選択車種の制限の他に、故障やトラブルの多発も

電動トラックの導入を始めた2018年当時は、まだ業務に適した車種が少なく、リース形式で大型車を採用しました。しかし、大型車の運転に必要な免許を取得している社員が少なく、配送ルートの設定や業務手配の面で苦労しましたし、故障やトラブルも数多く発生しました。日々の業務の中で、車両の運用方法の見直しや、部品の改善などをリース会社に伝えるうちに、徐々に故障率が減少し、トラブル発生時の対応もスムーズになっていきました。しかし、電動トラック導入から3年たっても、リース契約では大型車以外の選択肢がなく、運転者の確保やコストの高さなどの課題は解決できず、2021年には業務内容に合わせた電動トラックの直接購入に方針を転換しました。

電動トラックの導入におけるもう一つの大きな課題が、充電スタンドの設置です。広州ヤクルトでは、最大で60kwクラスの急速充電機を設置していますが、2台同時に接続するとフル充電までに5~6時間が必要です。電動スタンドはフル充電になると自動的に電力供給がストップする仕組みとなっていますが、万が一のことを考えて、必ず社員がいる時間帯に充電することにしています。また、フル充電しても実際に運用できる航続距離は最大で150km程度で、市内配送での運用には適していますが、郊外への配送には不安が残ります。

充電スタンド

充電スタンド

政府の支援で電動車の普及が拡大。業務にあった車種の購入が可能に

2018年当時は、電動トラックを導入する企業は少ない印象でしたが、この5年間に政府の環境対策による支援もあり、急速に普及したように感じています。今では、広州市民も電動トラックが走る様子を自然に受け止めているようです。
電動トラックは、ガソリン車とディーゼル車に比較して車両価格も高く、充電スタンドの設置が不足しているという課題も残っています。一方で、最近は軽油を含むガソリン価格が高騰しており、運用コスト面でもディーゼルトラックと同等またはそれ以上のコストメリットも生じるようになりました。またスムーズな加速なども運転者からは好評です。
電動トラック導入による最大の効果は、環境負荷の軽減です。広州市で電動車がさらに普及し大気汚染の状況も改善されれば、人々の健康を守ることにもつながるため、今後も広州ヤクルトが率先して導入を推進していきたいと考えています。

担当者のコメント

広州ヤクルト株式会社
営業企画部推進課

盧曼麗

担当者のコメント

CO2排出量の増加による世界的な気候変動が自然の生態系に一連の影響を与え、私たちの身近な生活環境、経済、さらに社会問題にまで発展することを懸念しています。
個人的にも、節電や節水など身近に取り組めることから環境保護の活動を始めることで、大気汚染の改善と生態系の悪化を遅らせることにつながると考えています。

Pick Up!

担当者に聞きました

世界のステークホルダーとともに、持続可能な「ヤクルトの森」をつくる(ヨーロッパヤクルト)

世界のステークホルダーとともに、持続可能な「ヤクルトの森」をつくる(ヨーロッパヤクルト)

ヨーロッパヤクルトは、2022年から森林を世界に広める国際的な植樹団体「ツリーダム」 との提携を開始しました。植樹した後も現地の農家が木々を育て、森林の維持・管理を続ける取り組みの意義と、今後の取り組みの拡大について担当者が説明します。

生物多様性の保護にとどまらない「ツリーダム」の植樹活動

ヨーロッパは世界的にみて環境意識の高い地域として知られています。EUを中心に環境に関わる法律や規制が整備され、さまざまな企業が先進的な環境対策に取り組んでいます。そうした中で、ヨーロッパヤクルトでは2022年から、森林を世界に広めるグローバルウェブプラットフォーム「ツリーダム」との提携を開始し、全社員で「ヤクルトの森」を運営しています。この取り組みは、森林再生に貢献すると同時に、途上国の人々に対する地域社会への社会的・経済的な効果も期待できます。

エクアドルのオレンジの収穫

エクアドルのオレンジの収穫

「ツリーダム」は、2010年にイタリアで設立された団体で、オンライン上で苗木を購入するとアフリカや中南米の農家が現地で木を植えて育てる仕組みを通じて、緑化を推進しています。これまでに約1万1,000社と提携し、15か国で22万人の農家が380万本を植樹した実績があります。世界中には多くの植林団体がありますが、「ツリーダム」は、ただ苗を植えるだけではなく、長期にわたって木の手入れを行い、森林の維持管理にも努めているのが特徴です。このため、苗1本当たりの植樹費用は他の団体よりも高くなりますが、生物多様性や気候変動といった環境課題への対応に加えて、農家に対する社会的・経済的な機会を提供できることも、他の団体とは違うと感じました。

エクアドルのオレンジの収穫

エクアドルのオレンジの収穫

アボカドの苗に水をやるタンザニアの農家

アボカドの苗に水をやるタンザニアの農家

オンラインで「ヤクルトの森」を見守る社員の反応

私たちは「ツリーダム」の取り組みを高く評価しつつも、提携先の団体として選定するまでには、各国の担当者たちと何度も話し合いを重ねました。このパートナーシップについて社内に伝え、計画を策定する過程で、活動の目的を徹底的に議論しました。そして、「ツリーダム」のビジョンはヤクルトの企業理念と環境ビジョンに合致しているという結論にたどり着き、まずは、できるところから始めようと、一歩を踏み出すことにしたのです。
提携開始を記念して、ヨーロッパヤクルトグループの全社員に植物とオンライン上のツリーダムコードを贈りました。オンライン上の「ツリーダム」のプラットフォームには「ヤクルトの森」のページが設置され、植樹された場所やその後の木の写真などの情報を閲覧することができます。ツリーダムコードを持つ全社員が、オンラインのヤクルトの森のコミュニティに参加し、自分の木の成長を追うことができるようになりました。社内でも好評で、「より良い未来の実現に向けて、実際に行動を起こしたことに満足している」など、「ツリーダム」との提携に共感する感想が数多く寄せられています。

社員に贈られた植物とツリーダムコード

社員に贈られた植物とツリーダムコード

「ヤクルトの森」のページ

「ヤクルトの森」のページ

幅広いステークホルダーに取り組みを広げたい

また、対外的な広報にも力を入れています。ヨーロッパヤクルト内の各言語でプレスリリースを作成し、各国のウェブサイトで発表しました。認知度向上のため、ニュースレターでの発信やSNSへの投稿を行ったほか、社外のステークホルダーにもツリーダムコードを贈り、ヤクルトの森に参加できる機会を提供しました。
さらに2022年9月には、オランダのアルメア市で開催された国際園芸博覧会(フロリアード2022)において、「ツリーダム」から講師を招いて、同市とCSRセミナーを共催しました。そこでは、社内外のステークホルダーに、より良い社会と環境のための提携活動の重要性を伝えました。
2023年6月現在、「ツリーダム」とのパートナーシップにより、7か国に6,747本の苗が植えられています。これにより1,880.4tのCO2を削減できる見込みです。

タンザニアのルアハ公園

タンザニアのルアハ公園

私たちヨーロッパヤクルトは、社員だけではなく、消費者やステークホルダーの皆さまにもコミュニティを広げて「ヤクルトの森」を一緒に運営していきたいです。

担当者のコメント

ヨーロッパヤクルト株式会社
コーポレートコミュニケーションオフィサー

丹羽美貴

担当者のコメント

今後の目標はこの提携をヤクルトグループ内だけでなく、社外のステークホルダーを巻き込んで最大化することです。「ツリーダム」は、魅力的な写真・動画や独自のオンラインプラットフォームを提供しており、ストーリーを伝え、より多くの人々を巻き込むことができます。今後もこの提携を通じて、人と地球のために具体的な活動を支援することを目指します。

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