人も地球も健康に Yakult

プラスチック容器包装 マテリアリティ

ヤクルトのアプローチ

ヤクルトのアプローチ

ヤクルトグループは、プラスチックごみによる環境汚染や生態系への影響を強く認識し、プラスチック製容器包装に関する定量目標を策定して取り組みを進めています。具体的には、容器包装の薄肉化や軽量化等によるプラスチック使用量の削減やプラスチック製容器包装のリサイクルの高度化等に取り組み、プラスチック製容器包装による環境負荷の低減を図っていきます。また、バイオマスプラスチックや再生プラスチックといった資源循環しやすい素材への転換等、環境配慮型容器包装の基礎技術の確立を目指しています。

貢献するSDGs

プラスチック資源循環に向けた容器包装の工夫

近年、海洋プラスチックごみ、温暖化、資源の枯渇などが世界的な問題になっています。そこでヤクルトでは、プラスチック製容器包装の資源循環を推進する取り組みを行っています。
2021年4月には、「環境ビジョン2050」を発表しました。「環境ビジョン2050」の達成に向けた短期的および中期的マイルストーンである「環境アクション(2021-2024)」および「環境目標2030」においてプラスチック製容器包装を2018年度比で2024年度末までに5%、2030年度末までに30%削減あるいは再生可能にすることを目指しています。

  • 気候変動に具体的な対策を
  • パートナーシップで目標を達成しよう
  • ヤクルトグループ環境ビジョン

主な取り組み

プラスチック資源循環アクション宣言

1995年に容器包装の安全性の確保、包材使用量の抑制、処理・処分の適正化、再生資源利用の促進を基本要件とした取り組みを具体化するためのガイドラインを定めて、より環境負荷の少ない容器包装を設計するように努めてきました。また、海洋プラスチックごみ、温暖化、資源の枯渇等の問題を重視し、プラスチック製容器包装の資源循環に積極的に取り組み、2019年1月には、「プラスチック資源循環アクション宣言」を発表しました。

プラスチック資源
循環アクション宣言(概要)

ヤクルトグループは、プラスチック製容器包装の資源循環を推進する取り組みを行います。

2025年目標

環境配慮型容器包装の基礎技術を確立したうえ、資源循環しやすい素材(バイオマス素材、リサイクル素材、生物分解性素材等)への転換に着手します。

2030年目標

循環資源市場や環境インフラ等の外部環境の整備状況と連動しながら、資源循環しやすい素材へ最大限の転換を図ります。

容器包装へのプラスチック使用量の削減や、生産工程で使用するプラスチック製梱包材の再使用等の取り組みについて、これまで以上に推進し、資源循環に向けた取り組みを積極的に進めていきます。

バイオマス素材の使用拡大

ヤクルトでは、「ミルージュ」 等8品目のPET容器入り商品のシュリンクラベルにバイオマスインキを採用し、バイオマス素材の使用拡大を図っています。バイオマスプラスチック、バイオマスインキを採用した商品は、一般社団法人日本有機資源協会から生物由来の資源(バイオマス)を活用して品質および安全性が関連する法規、基準、規格等に適合していると認定を受け、「バイオマスマーク」を表示しています。

パッケージ

バイオマスプラスチックを使用していることをパッケージに記載

Pick Up!

担当者に聞きました

世界第3位の広さの海を持つ国で、海洋プラスチックごみ問題に取り組む(インドネシアヤクルト)

世界第3位の広さの海を持つ国で、海洋プラスチックごみ問題に取り組む(インドネシアヤクルト)

世界有数の島国で広大な海に囲まれたインドネシアでは、海洋プラスチックごみの問題が深刻化しています。インドネシアヤクルトはヤクルトレディと直販ルート担当者が使用済み容器やシュリンクフィルムの回収活動をしています。担当者が取り組みの進捗と今後の目標を語ります。

海の生態系に対する被害を止めるために

インドネシアは1万3,000以上の島々からなる島国で、国の面積の約7割が海洋です。世界第3位の排他的経済水域(EEZ)の面積を持つ国で、政府は「海洋国家構想」を掲げ、港湾などの海洋インフラの整備を推進し、漁業、造船、観光など海に関する産業の振興に注力してきました。その一方で、世界第2位の海洋プラスチックごみ排出国になるなど、海洋プラスチックごみは、深刻な社会問題となっています。いま、世界では海洋プラスチックごみにより、魚、ウミガメ、海鳥、クジラやアザラシなど海洋哺乳動物を含む約700種の生物が被害を受けています。海の生態系への影響は大きく、近年では世界全体で取り組むべき課題として認識されるようになってきました。

環境林業省の担当者が事務所を訪問してヤクルトレディにごみの分別についてレクチャー

環境林業省の担当者が事務所を訪問してヤクルトレディにごみの分別についてレクチャー

インドネシアでは、多くの廃棄物が分別されることなくトラックで処分場に運ばれ、そのまま埋め立てられています。国民の間でも、海洋プラスチックごみ問題は知られてきていますが、全般的なごみ問題への意識は低く、ごみを分別しリサイクルするといった考え方も広がっていません。こうした中で、2019年にインドネシアの環境林業省は、2029年にプラスチック等のごみ総量を30% 削減するという目標を掲げた「生産者によるごみ削減計画」を策定しました。生産者に対し、包装ごみ削減に関する計画書と年次報告書の提出を義務付けたもので、インドネシアヤクルトでも、2024年まではごみ総量の5%削減を目標とし、次の4年間(2025年~2028年)で削減率を毎年5%ずつ増やし、2029年に30%削減を最終目標とするロードマップを提出しました。そして、この目標達成に向けて、ヤクルトレディと直販ルート担当者が使用済みヤクルト容器と、「ヤクルト」50本を包装するプラスチック製の再シュリンクフィルムを回収する取り組みを開始しました。

環境林業省の担当者が事務所を訪問してヤクルトレディにごみの分別についてレクチャー

環境林業省の担当者が事務所を訪問して
ヤクルトレディにごみの分別についてレクチャー

ヤクルトレディと直販ルート担当者の理解がお客さまに伝わる

2021年の取り組み開始当初は、社員やヤクルトレディの間でもプラスチックごみ問題に対する理解が進んでいなかったこともあり、作業負担増となる取り組みには反発もありました。しかし、プラスチック包装の廃棄物回収は法律で定められた義務であることや、海洋プラスチック問題の本質について説明することで、ヤクルトレディや直販ルート担当者も活動の意味を理解して回収活動に参加するようになりました。いまでは、お客さまへの情報提供からこの問題への教育まで積極的に取り組んでいます。ヤクルトレディのお客さまも、直販の取引先もこの取り組みを好意的に受け止め協力してくれています。2023年4月時点では、ヤクルトレディの3割、直販ルート担当者の2割が回収に参加し、ごみ総量の約4%を回収できるようになりました。

「ヤクルト」の容器を回収

「ヤクルト」の容器を回収

再シュリンクフィルムを分別するヤクルトレディ

再シュリンクフィルムを分別するヤクルトレディ

社内でも、この取り組みを通じてインドネシアが直面している廃棄物問題や、プラスチックを扱う企業としての責任についての認識が深まってきたように感じています。社員たちもオフィスや家庭で消費した「ヤクルト」の空き容器を専用のゴミ箱や定められたルートで回収しています。また、廃棄物削減の取り組みに関する 啓発動画を作成し、社内および社外関係者に情報を提供する活動も行っています。

収集したプラスチック廃棄物のリサイクルを請け負う廃棄物販売事業者は、ヤクルトのプラスチック廃棄物はさまざまな種類の商品にリサイクルできると話していましたが、具体的な再利用方法については、まだ調査中です。今後も引き続きリサイクル事業者を訪問するなど、プラスチック廃棄物の用途の詳細を調べていきます。

スタートアップ企業のゴミ回収事業者Rekosistemが訪問

スタートアップ企業のゴミ回収事業者Rekosistemが訪問

今後の課題解決にはステークホルダーとの協働が必要

インドネシアのような島国で、プラスチックごみを回収することは容易ではありません。インドネシアヤクルト1社では活動にも限界があります。政府、廃棄物管理団体、社員など幅広いステークホルダーと積極的にコミュニケーションを図り、この問題に関する啓発活動を拡大し、プラスチック容器包装の管理についての最新情報を共有していきたいと考えています。ステークホルダーとの協働でプラスチック包装廃棄物の回収システムを構築することで、リサイクルのプロセスと政府への報告をうまく機能させ、取り組む人々が快適に作業できるような環境を整え、効率的な回収活動を実現したいです。最終的な目標は、インドネシアの環境林業省が定めるとおり、2029年における当社のごみの総排出量のうち、30%を削減することと、インドネシアの廃棄物処理状況の改善に貢献することです。

担当者のコメント

インドネシアヤクルト
学術広報スーパーバイザー

ニ プトゥ デシー アルヤンティニ

担当者のコメント

私個人としては、毎年設定している廃棄物削減目標の達成に向けて最大限の努力をしていきたいと考えています。良いシステムを構築し、実証できるポジティブな結果を出すことで、社員やお客さまに、「プラスチック包装廃棄物を削減する取り組みは実行可能である」と考えてもらいたいです。私たちが協力すれば、環境をより良くできると信じています。

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