多様な健康ニーズに応える
健康価値の創出
マテリアリティ
健康価値の創出 マテリアリティ
ヤクルトのアプローチ
これまで培ってきた乳酸菌・有用微生物の研究成果の活用や、外部リソースとの協働により「新しい健康価値」を追求し、健康課題や社会課題の解決につながる商品やサービスを展開していきます。
主な取り組み
- 植物素材を活用した製品の開発
- メディカルバイオーム事業の拡大
- 共同研究・企業間連携の推進
- 知的財産・無形資産の投資・活用 など
取り組み事例
人の健康に有用な菌の研究
腸内フローラ研究
私たちのおなかの中には、およそ1,000種類、約100兆個もの腸内細菌がすみついていて、特に小腸下部から大腸にかけては多種多様な腸内細菌が生息しています。それらは植物の群れにたとえ「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。腸内フローラは、腸の健康や免疫機能の発達維持だけでなく、生活習慣病やストレス等とも関連があることが分かってきました。
中央研究所では、予防医学の見地から、腸内フローラの研究を活動の柱としています。最新の遺伝子解析技術や腸内細菌分離技術など、さまざまな手法を用いて解析し、腸内細菌の種類や構成と疾病とのかかわり、宿主の健康に及ぼす影響などを追究しています。
プロバイオティクス研究
中央研究所では、代田 稔が発見したL.パラカゼイ・シロタ株をはじめ、B.ブレーベ・ヤクルト株等を使ったプロバイオティクス分野の研究で数多くの成果を生み出し ています。
乳酸菌やビフィズス菌等の微生物コレクション
植物素材を活用した製品の開発
ヤクルト本社は、レモンなど植物性素材のリソースを有するポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社(以下、「ポッカサッポロ」)と業務提携契約を締結し、植物素材利用食品としてのお客さまへの新たな価値提案とさらなる市場拡大のために、協働で検討を進めてきました。その結果、ポッカサッポロのレモン素材と当社の乳酸菌技術を生かした商品として、「ソフール レモン」(2023年1月発売)、またポッカサッポロから取得した植物性ヨーグルト事業と生産設備を活用し、「豆乳の力」(2024年10月発売)を上市しました。
メディカルバイオーム事業の拡大
「メディカルバイオーム」とは、Medical(医療)とMicrobiome(細菌叢)を合わせた造語であり、ヘルスケア領域におけるさまざまな課題に対して解決のサポートとなるマイクロバイオーム(細菌叢)研究やそれに基づく食品開発、新たな価値の創造などのヤクルト本社の事業活動を包括的に表しています。
この事業の一環として、医療従事者の声も取り入れて開発した商品として、2023年に「シンプロテック」「ビフィズスプロ」を発売しました。
「シンプロテック」はヤクルト独自の2種の生菌とガラクトオリゴ糖がセットになったシンバイオティクス食品で、「ビフィズスプロ」は生きた「ビフィズス菌 BY株」を含む粉末状の商品であり、常温での長期保存が可能で、携帯性に優れたアルミスティック包装入りです。
外部研究機関との共同研究
JAXAとの共同研究
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究では、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在する宇宙飛行士を対象に、プロバイオティクス(L.パラカゼイ・シロタ株)の継続摂取が腸内環境および免疫機能に及ぼす効果の科学的検証を行っています。宇宙実験の実施に先立ち、L.パラカゼイ・シロタ株を宇宙環境で長期保管したところ、プロバイオティクスとしての機能が維持されることを確認しました。
順天堂大学に「消化管疾患病態研究・治療学講座」を開設
順天堂大学大学院医学研究科内に寄付講座「消化管疾患病態研究・治療学講座」を開設し、機能性消化管疾患の症状や生活の質に対するプロバイオティクスの効果とその作用機序の解明を目的とする共同研究を実施しています。機能性消化管疾患に対するプロバイオティクスのエビデンスを創出するとともに、腸内フローラや腸内環境を基軸に機能性消化管疾患の理解を深め、医学の発展に貢献します。
知的財産・無形資産の投資・活用
知的財産権の取得・活用
ヤクルトグループは、研究開発によって生み出された新製品・新技術に関する知的財産権(特許権、意匠権、商標権等)の取得を国内外で積極的に推進し、自社の技術等を他社から守るとともに、これらの権利を適正に活用することによって、自社のブランド価値の維持・向上に努めています。プロバイオティクスから医薬品・化粧品関連まで、国内外で特許を保有しています(2025年3月末現在の国内外保有特許件数:約1,000件)。
※1 2025年5月現在、権利継続中・審査中の出願数を基に集計。
※2 その他の内訳:包装、容器、治具、バイオテクノロジー(細胞培養、遺伝子ほか)、教育資材等。
知財戦略の最適化
ヤクルトグループでは、事業活動を行うすべての国・地域の知的財産権を本社が一元管理することにより、グループ全体として最適な知財戦略を構築しています。知財戦略は、開発部知的財産課が中心となって検討・策定し、事業部門とともにその実践を推進しています。
本社一元管理のもと、世界各国・地域で商標「Yakult」等について権利を取得し、自社のブランド価値の維持・向上に努めています。また、トレードマークであるヤクルト容器の形状について、日本、米国等で立体商標として権利化しています。これらの権利は、海外で急増する模倣品への対策にも役立っています。さらに模倣品対策については、外部専門家と連携して監視システムを強化しています。
日本商標登録5384525号(左)、米国商標登録3467768号(右)ヤクルト容器の形状について、容器形状のみで立体商標として登録されています。
企業間連携による商品開発(ペット向け商品)
伴侶動物(ペット)向け商品の展開
コーポレートスローガン「人も地球も健康に」の実現に向け、人だけでなく、動植物や環境に対しても、等しく健康であることが重要と考えます。そこで、伴侶動物の健康の維持と向上に貢献したいと考え、株式会社ジャパンペットコミュニケーションズと資本業務提携を行い、ヤクルト独自の素材を使用した協働企画商品を販売しています。2024年10月には猫用商品のニーズに応えた猫用サプリメント「MediSuppli (メディサプリ)ガラクトオリゴ糖」の販売を、さらに2025年5月にヤクルト独自のガラクトオリゴ糖とプラニマル乳酸菌を使用したドッグフード「V-Base(ブイベース)」の販売を開始しました。
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